「若月さん!」
 田城くんの声が聞こえる。
「若月! そんなやつの言うこと聞かなくていいから!」
 松本さんの言うそんなやつとは、いったい、誰のことだろう。私には、それさえもわからなくなっていた。
 私はおずおずと右手を上げる。人差し指の先には、山本くんの、眩いばかりの笑顔があった。
『投票の結果、田城健太郎が追放されることになりました。本日のプレイは終了となります。お疲れさまでした。人狼及び能力者の皆さまには、ログアウトまでに猶予が与えられます』
 私は投票結果をしっかり見ていた。鬼屋敷くんと松本さん、山本くんの三人が、田城くんに投票していた。山本くんには、田城くんと私の、二票が入った。
 意識が遠のいていく。ゲームはまだ、終わらない。