「な、な、な? なによこれ!!!」
叫んでいるのは馬場芽美だ。仲の良い祥子を失い悲観に暮れていた彼女の首元からアラームが鳴っている。あの首輪からだ。
パニックを起こす彼女は教室を駆け回る。
「あ、この2人か……」
スダがそう言うと真威人が
「なんなんだよこれ!」
詰め寄る。
「一組だけランダムで仕掛けていたんです。ペア装置」
スダがいう間にも芽美は泣き叫ぶ。周りはどうしていいかわからない。アラームの速度が上がる。
「ペア装置?!」
権野は首輪を触る。
尻山の遺体のあたりからアラーム音が聞こえる。どうやら尻山と芽美にペア装置が付けられていたようだ。
「安心してください、一組だけですから。ランダムで一組のみその装置をつけ、一人が死んだらペアの一人も装置が爆破して死にます」
「なによ! 自分たちだけ逃げようとした奴らみたいに卑怯な真似したくないし! 私はまだ生きたいのに!!!」
と暴れ回る芽美だったが……芽美は女子たちにつかんだ。
「やめてよ! 巻き込まないでよ!」
とそれぞれに蹴飛ばされる。
「芽美!」
葉月が行こうとするが権野が抑止する。
「やめろ、葉月!」
アラームの速度が最大ピッチに達する。周りの人たちはもう避けている。
「うあああああああーーー!」
ばしゅっ!!!!!
尻山と同じように芽美は首輪の装置が爆ぜて教室の真ん中で絶命した。
そしていつものように兵士たちが黒い布を被せた。
「教師を含めて20名でしたが……名津祥子さん、梶原均先生、尻山湯治さん、獅子頭常さん、馬場芽美さん。これで五名が脱落。残り15名です。いやはや、序盤としては上々の進行ですね」
その言葉は、まるで人間の命を数字として処理しているような無情さだった。
「……こんな中で、よくもまあ冷静でいられるよな」
権野はスダに向けて苛立ちを露わにしながら言った。
その様子を見て、ハルキは考える。
ふと、ハルキの視線は葉月に向かう。葉月は、気絶している胡桃の側で声をかけながら懸命に介抱していた。
自分も声をかけるべきなのか……でも、一歩が踏み出せない。
ハルキは唇を噛む。混乱と恐怖の中で、自分の無力さが嫌になる。
一方、教室の隅では兵士たちが動き始めた。彼らは、遺体に黒い布をかぶせ、それを隅に運んでいく。
「ちょっと、教室が狭くなりますからね。隅に寄せましょうか」
スダはまるで掃除を命じるかのように軽い口調でそう言った。
壁際の兵士たちに血の滴る黒い布が次々と運ばれ、教室の隅に固められていく。その光景を見つめる生徒たちは、口を閉ざし、息を潜めていた。
権野が持っているバットを強く握り締める。今にも兵士たちに襲いかかりそうな気配を見せるが、スダが軽く指摘した。
「あ、その兵士には攻撃しないほうがいいですよ。何が起きるかわかりませんから」
その言葉に権野は一瞬ひるむ。そして悔しそうな顔をしながらバットを握る手を緩めた。ペア装置の爆発を目の当たりにしたばかりで、下手に動けないことは全員が理解していた。
運び出された遺体は、梶原の死体の近くに固められていく。黒い布に覆われたその姿は、教室の隅で静かに積み重なっていくようだった。
生徒たちはその光景に目を背けることもできず、ただ見つめることしかできなかった。
(自分もこうなるのか……)
誰もが同じ考えを抱いていた。
静寂に包まれた教室内には、血の匂いと、芽美が駆け回っていた時の悲鳴がいまだ残響のように漂っていた。
叫んでいるのは馬場芽美だ。仲の良い祥子を失い悲観に暮れていた彼女の首元からアラームが鳴っている。あの首輪からだ。
パニックを起こす彼女は教室を駆け回る。
「あ、この2人か……」
スダがそう言うと真威人が
「なんなんだよこれ!」
詰め寄る。
「一組だけランダムで仕掛けていたんです。ペア装置」
スダがいう間にも芽美は泣き叫ぶ。周りはどうしていいかわからない。アラームの速度が上がる。
「ペア装置?!」
権野は首輪を触る。
尻山の遺体のあたりからアラーム音が聞こえる。どうやら尻山と芽美にペア装置が付けられていたようだ。
「安心してください、一組だけですから。ランダムで一組のみその装置をつけ、一人が死んだらペアの一人も装置が爆破して死にます」
「なによ! 自分たちだけ逃げようとした奴らみたいに卑怯な真似したくないし! 私はまだ生きたいのに!!!」
と暴れ回る芽美だったが……芽美は女子たちにつかんだ。
「やめてよ! 巻き込まないでよ!」
とそれぞれに蹴飛ばされる。
「芽美!」
葉月が行こうとするが権野が抑止する。
「やめろ、葉月!」
アラームの速度が最大ピッチに達する。周りの人たちはもう避けている。
「うあああああああーーー!」
ばしゅっ!!!!!
尻山と同じように芽美は首輪の装置が爆ぜて教室の真ん中で絶命した。
そしていつものように兵士たちが黒い布を被せた。
「教師を含めて20名でしたが……名津祥子さん、梶原均先生、尻山湯治さん、獅子頭常さん、馬場芽美さん。これで五名が脱落。残り15名です。いやはや、序盤としては上々の進行ですね」
その言葉は、まるで人間の命を数字として処理しているような無情さだった。
「……こんな中で、よくもまあ冷静でいられるよな」
権野はスダに向けて苛立ちを露わにしながら言った。
その様子を見て、ハルキは考える。
ふと、ハルキの視線は葉月に向かう。葉月は、気絶している胡桃の側で声をかけながら懸命に介抱していた。
自分も声をかけるべきなのか……でも、一歩が踏み出せない。
ハルキは唇を噛む。混乱と恐怖の中で、自分の無力さが嫌になる。
一方、教室の隅では兵士たちが動き始めた。彼らは、遺体に黒い布をかぶせ、それを隅に運んでいく。
「ちょっと、教室が狭くなりますからね。隅に寄せましょうか」
スダはまるで掃除を命じるかのように軽い口調でそう言った。
壁際の兵士たちに血の滴る黒い布が次々と運ばれ、教室の隅に固められていく。その光景を見つめる生徒たちは、口を閉ざし、息を潜めていた。
権野が持っているバットを強く握り締める。今にも兵士たちに襲いかかりそうな気配を見せるが、スダが軽く指摘した。
「あ、その兵士には攻撃しないほうがいいですよ。何が起きるかわかりませんから」
その言葉に権野は一瞬ひるむ。そして悔しそうな顔をしながらバットを握る手を緩めた。ペア装置の爆発を目の当たりにしたばかりで、下手に動けないことは全員が理解していた。
運び出された遺体は、梶原の死体の近くに固められていく。黒い布に覆われたその姿は、教室の隅で静かに積み重なっていくようだった。
生徒たちはその光景に目を背けることもできず、ただ見つめることしかできなかった。
(自分もこうなるのか……)
誰もが同じ考えを抱いていた。
静寂に包まれた教室内には、血の匂いと、芽美が駆け回っていた時の悲鳴がいまだ残響のように漂っていた。