「死にます、って……もしかして寝てる間にバスが事故って……ここって死後の世界?」
最初に口を開いたのは谷津(やつ)レナミだった。だが違和感を感じて自分の首元を触った。
「な、なにこれ……首輪?」

他の学生たちも次々に自分の首元に手をやり、硬直する。冷たい感触と微かな機械音――それは間違いなく、何か異常なものだった。教室はたちまち不穏な空気に包まれた。

「これって……何かの殺し合いゲーム?! ヤバいって!」
「あれだよ! クラス全員で戦わされるやつ! 首輪つけられて、最後の一人になるまで生き残るゲーム! んで、この首輪が爆発することもあるんだよ!」
「爆発?!」
その言葉に、学生たちが次々と顔を青ざめさせていく。
「……いや、映画とかゲームの話だろ? 冗談に決まってる」
騒ぎ立つ教室の中。
「これは何かのアトラクションとか?」

男は無表情のまま答えた。
「はい、そこまで! 静かに」

その声と同時に、教室の隅に並んでいた無数の人形のように見えていた兵士たちが一斉に動き出し、銃口を向けてきた。

「……!」
教室中に悲鳴が響き渡り、学生たちは本能的に教室の中央に固まった。

男は冷たい目で一同を見下ろしながら、淡々と言葉を続けた。
「ルールは簡単です。12時間以内に一人になればいい。それだけです。一人は助かります」