美鶴は恐怖に震え、ついにその場で失禁してしまった。その姿は、どこか哀れで、しかし、どこまでも醜かった。

華子はその様子を見て、無言で木刀を握りしめた。
「信成子があんな目に遭ったことが許せない!信成子がどれだけ辛かったのか、時雄も無念だったわね。私は許せない。これは侮辱だ。女としても、人間としても、許せない!」

その言葉が空気を一層冷たくし、張り詰めた緊張が場を支配する。美鶴はその言葉にかすかに反応するが、恐怖で動けず、ただその場に崩れ落ちた。

ハルキが割って入る。
「離れろ、華子さん。一旦やめろ。確かに、今ここにいるみんなは美鶴を消したいと思っている」

ハルキは他のメンバーを見渡し、しばしの沈黙の後、皆が頷いた。言葉にできないほどの怒りと憎しみが溢れているが、それでも一瞬の理性が支配する。

富弥は壁際に座り込んで震えている。その姿に、権野が鋭い目線を向ける。
「お前は……」

富弥は震える声で答える。
「俺もお前達を恨んでた……正直、時雄が死んで、その彼女が酷い目にあったのはざまぁ!って思ったよ! 何人かはお前達にへこへこしてればいじられない、そう思って一緒にヘラヘラしていた、それは事実だ」
その言葉に、権野は拳を握りしめた。何も言い返せない。自分たちが日頃から部の中で一部の弱い男子達をいじり笑っていたことを悔やんだ。
なかには富弥の言う通り、へこへこして、何も言わずに黙っていた者もいた。それを今更知り、どうしていいか分からない。

その瞬間、スダが静かに告げた。
「残り、六名ですね」

その一言が、場の空気をさらに冷え込ませた。