「そんなの、あなたたちの普段の行動を振り返ってみればわかるかもしれませんよ。日々粛々に生きていればこんなゲームに巻き込まれませんでしたから」

スダが皮肉を込めて言い放つと、ハルキが前に出た。これまで正義を振り翳してきた雫や真威人が命を落とした今、彼が前に立つことをためらう理由はなかった。

「……あんたは……この様子を見てどうなるんだ」
ハルキが声を震わせて問いかける。

「どうにもなりません。むしろ、どうせ一人しか生き残れないのなら、今のうちに仲良しごっこのサークル内で気に食わない人間を消してみてはどうでしょう? ハルキくん、特にあなたは一目見てマウントが下の方。腹立つ人がいれば、そこに捨ててある武器で仕留めてもいいんですよ」

スダの冷たい言葉に、ハルキは拳を握りしめながら首を横に振った。

「……そんなこと、するわけがない。いくら、何があっても……」
「でも戻った時、また同じ目に遭うんですよ。殻を破ってみては?」

スダの挑発にも、ハルキは頑なに否定し続けた。その様子を見て、権野が抱きしめていた葉月をそっと座らせながら言った。

「弱虫……とは言わないが、俺は正しいと思うぞ」

ハルキはその言葉に驚き、権野を見つめた。

「あらあら、本当に『ドラえもん』の映画版に出てきたジャイアンとのび太の協力シーンですね……。時間はどんどん減りますが、いいドラマを見せてもらってますよ」

スダが嘲笑とともに指差した先には、残り時間を刻むカウントダウンの時計が表示されていた。

「……」
ハルキは唇を噛みしめた。しかしその直後、鍋田が前に進み出て叫んだ。

「……そうだな、今がチャンスだよな……ハルキがやらないなら俺がやる」

そう言うと、鍋田は近くにあった金槌を掴み、権野に向かって振り上げた。しかしその瞬間――