身体が鈍く空気を切る音とともに、星華の喉にカッターが突き刺さった。
「星華!」
梨々花は目の前で倒れる星華を支えきれず、彼女を地面に崩れ落ちさせた。
血が止まらない。星華の顔は白く、命の光がだんだんと失われていくのが見えた。梨々花は必死に手で止めようとするが、どうにもならない。
「星華! 星華!」
梨々花は絶叫しながら、その手を血で染めた。
雫は震え、肩が上下している。息を荒くしながら、目の前にいる梨々花を見つめていた。
「なんで、星華……」
梨々花の涙が彼女の顔を濡らす。雫はただ無言でカッターを落とした。
その時、兵士たちが黒い布を持って星華の体にかぶせた。
「うああああああっ」
梨々花は子供のように泣きじゃくり、星華を抱きしめて離さなかった。
その光景を見た雫は、再びカッターを手に取る。顔を上げ、梨々花に向かって冷ややかな目を向けた。
「今度はあんただよ。あんたたちがいるとサークルの雰囲気が変わるのよ……我慢してたけど……」 雫はその言葉と共に、再びカッターを梨々花に向けて振り上げる。
その瞬間、ハルキが武器が置いてあるところに手を伸ばし、適当に取った剣山を握りしめて梨々花と雫の間に立ちふさがる。
「よせ、ハルキ……」
権野がその後ろから静かに言った。
「お前にできるか?」
権野の声は冷たく響き、ハルキは思わず動きを止めた。権野の言葉が心に刺さる。
ハルキは迷い、足がうまく動かない。それでも剣山を構え、止めようとしたが、足元がふらついていた。
雫はその隙に、梨々花の前に立ち、カッターを持ち上げた。もう、躊躇する様子は見せない。
しかし次の瞬間
「うあああっ!!!」
雫はその言葉と鈍い音で倒れた。