その一言が放たれると、教室内は再びどよめきに包まれた。

「は? 雫と結婚? ひーくんがこんな堅物に興味あるわけないじゃん!」
梨々花は目を見開き、信じられないというように声を荒げた。

しかし雫は動じず、冷ややかな視線で梨々花を見据えた。
「均さん、言ってたわ。『真面目な子が好きだ』って。私と話していると世界が広がるようだって……あなたとは会話が噛み合わなくて、きっと退屈だったでしょうね」

二人は睨み合い、火花を散らしていた。

「はぁ? わけわかんねー! ひーくんは私と結婚する約束をしてたんだけど!」
梨々花が言い返すと、雫はさらに鋭い言葉を投げかけた。

「均さんとの子供、お腹にいるの。それを今日、みんなに伝えるつもりだったのよ」

その言葉に教室中が凍りついた。