君の匂いを知っている













 月の光が静かに差し込む部屋の、ベッドの上で雨霧(あまぎり)(なぎ)は一人静かに何かを呟きながら決心したように顔を上げた。

「最上、昴。字は最上級の最上でもがみ。昴星(ぼうせい)の星取ったやつで、すばる——思い出したんだからもう絶対、忘れない……」