君の匂いを知っている


 恒星からの梛へのプレゼントは、昴の予想通りスマホだった。昴の同じ機種の端末が袋から現れた時、梛は目を見開いた。
 梛は驚いて返そうとしたが、恒星にあっさりと押し戻された。

 『もう家族なんだから』とか、『もしスマホ代が払われなくなったり解約されてしまったら連絡手段がなくなるから』とか。
 恒星の真っ直ぐな言葉に梛は申し訳なさそうに頷いた。

 歓迎パーティもどきが終わってから、恒星は自分の部屋へ戻ってすぐに仕事へと戻った。
 昴にとって、恒星はいつ寝てるんだろうと思うほどの仕事人間だった。

 呆れる事もあるけど、それでもそんな恒星に憧れていた。昴が弁護士になりたかったのは、恒星の影響だった。