おもちゃ売り場へと向かった俺は、とある物を探していた。

「あっ、あった」

 俺は目的のモノがある棚を見つけると、近づいて展示されているそれを手に取ってみた。

「良いものはりましたか?」

「うん。まぁ、これだけあれば十分かな」

 俺はアリスの言葉に答えて、エアガンが並んでいる棚に目を向ける。

 俺が魔物と対抗するために選んだ武器は、おもちゃのエアガンだった。俺は手にしたハンドガンのエアガンを見て口元を緩める。

 もちろん、通常のエアガンで魔物と戦おうと言うつもりはない。

 俺はお掃除ロボットにした時と同じように、エアガンを優しく撫でで仕様変更ができない確認してみる。

 すると、お掃除ロボットの仕様変更をした時と同じようなウインドウが立ち上がった。

 『仕様変更しますか? Yes/No』

 俺は表示されたウインドウを見て大きく頷く。

「やっぱりできるみたいだね。家電ではないけど、アリスも家電量販店の中にある物は自在に仕様変更ができるって言ってたし」

 さて、問題はどんなふうに仕様を変更するかだ。

 理想は魔力を込めたものを発射できるのがいいけど、俺は魔力量が特別多い方ではない。そうなると、戦っている最中に魔力切れを起こしてしまう可能性がある。

 そうなってくると、自分が使いやすい感じにしないとだよな。

「弾の代わりに魔力を込めるやり方は俺には向かないか。そうなると……」

 俺は視線をちらっと下に落とす。すると、そこにはBB弾やマガジンが陳列されていた。

「それなら、BB弾の方を変えればいいか。BB弾の種類によって威力が変わる感じにすれば、強い魔物から人間まで相手にもできるし」

 正直、魔力を込めて撃つタイプの銃だと、魔物が強かったら効かない可能性がある。単純に、強い魔物を倒せるだけの魔力がないかもしれないし。

 それなら、弾によって威力が変わるように仕様変更してやればいい。そうすれば、魔力量に関係なくても、強い魔物と渡り合える顔しれない。

 榴弾系や炸裂系、あとはゴム弾など色々と使い分けられるようにしよう。

 幸いなことに、エアガンはライフル系のものやサブマシンガン系のもあるし、銃によって弾の種類を変えるのもいいな。

 俺はしばらくそんな妄想をしてから、エアガンやBB弾などを床に並べる。そして、それらをまとめて仕様変更させるウインドウを表示させた。

「さてと、あとは本当に俺の理想通りに仕様が変更されるかどうかだよな」

 俺は胸をドキドキさせながらウインドウに表示されている『Yes』をタップする。

 すると、エアガンとBB弾などが光り、ぼふっと白い煙で覆われた。

 感覚的にはお掃除ロボットの仕様変更に成功したときと同じ感覚だ。

 さて、エアガンたちは俺の理想通りに仕様変更してくれるかな?

 俺がそう考えて煙が引くのを待っていると、徐々にエアガンを包んでいた煙がなくなってきた。

 そして、仕様変更後のエアガンたちが姿を見せた。

「エアガンの見た目はそこまで変わってないか。弾はなんかちっちゃい銃弾みたいな感じかな」

 俺は仕様変更後のエアガンたちを見てそう言ってから、エアガンのハンドガンを手に取る。

 マガジンを取り出してみると、そこはBB弾ではなく小さな弾丸のような物を詰められるようになっていた。

「エアガンと実銃の間って感じなのかな?」

 俺はその弾をマガジンに込めてから、ふむと考える。

 ……せっかくなら試し打ちをしたいよな。

 俺がそんなことを考えていると、すぐ近くにあった液晶の画面が突然ついた。

「な、なんだ?」

 突然ついた液晶を見てみると、そこには『家電量販店』の入口にある自動ドアから中を覗いている一人の男性の姿が映し出されていた。

それから、男性は数度ノックをして何かを叫んでいるみたいだった。

 この映像って、店頭の監視カメラか? そんなものまであったのか、この『家電量販店』は。

「何か怒ってる? いや、そんな感じの表情でもないか」

「あ、倒れちゃいましたよ」

 俺たちがその男性の言動を見ていると、突然液晶に映っている男性がバタンと倒れてしまった。

 演技にしては迫真的過ぎるし、この男は監視カメラがあることなんて知らないはずだ。

 そうなると、本当にただ倒れてしまったということか?

「とりあえず、無視をするわけにはいかないよね」

 俺はそう言って仕様変更したばかりのエアガンのハンドガンを持って、アリスと共に家電量販店の入口へと向かったのだった。