戻ってきた寮の部屋で、弓未は寝息を立てていた。

楓子は机の引き出しから一つ封筒を取り出す。

1か月前に届いた兄からの手紙だった。


『最近はどう過ごしていますか。

妖を見たりしていないか。

心配しているよ。

何かあれば、あいつを頼りなさい。

この手紙が迷惑だったらすまない。

今日も楓子を応援している。』


「そういうこと…」

楓子は天を仰ぎ、弓未を起こさぬよう息を漏らす。

これでなおさらどんな返事を書けば良いかわからない。