◇
兄に会いに行く日がやってきた。
楓子は寮の玄関で深を待ちながら、そこにある大きな鏡で身なりを整える。
後ろからひょいと顔を出す深が鏡に映り、頬が緩んだ。
「楓子さん、こっち向いてください」
楓子が振り返ると、深はその顔をじっと見つめ、
親指を楓子の唇になぞるように押し当てた。
「何?」
「紅花です。口紅ですよ。ほら」
深が鏡でその顔を楓子に見せる。
楓子の黒い髪と白い肌に、紅色がよく映えていた。
驚き嬉しそうに微笑む楓子を見て、深もまた彼女の美しさに笑った。
兄に会いに行く日がやってきた。
楓子は寮の玄関で深を待ちながら、そこにある大きな鏡で身なりを整える。
後ろからひょいと顔を出す深が鏡に映り、頬が緩んだ。
「楓子さん、こっち向いてください」
楓子が振り返ると、深はその顔をじっと見つめ、
親指を楓子の唇になぞるように押し当てた。
「何?」
「紅花です。口紅ですよ。ほら」
深が鏡でその顔を楓子に見せる。
楓子の黒い髪と白い肌に、紅色がよく映えていた。
驚き嬉しそうに微笑む楓子を見て、深もまた彼女の美しさに笑った。


