(神様でも傷つくよな。それなのに、俺たち人間は水李を物凄く傷つけたんだ)
何度も周りから『嫌われ神様』と言われて。
俺も、周囲から『出来損ないの次男』や『役に立たない村の邪魔者』と罵られた。
最近は慣れていると思っていた方だ。
だけど、完全には慣れないものだ。
自分の存在を否定されて、どんなに苦しかったんだろう。
「なぁ、水李。俺は、水李の傍から離れないからな」
ただ、水李の姿が昔の俺の姿と重なって見えてつい言ってしまった。
「本当ですか?傍に・・・いてくれますか?」
水李は前を向いたまま言う。
顔は見えないが、声が震えていることから怖いんだろうと思った。
誰かに拒絶されるのが。
「ああ、ずっとそばにいてやるよ」
俺がそう言ったとたん、彼女は俺に抱き着いてきた。
「言いましたからね?。言った事には責任を取ってくださいね」
俺は、泣き続ける水李の頭を優しく撫でてやる。
水李が言った言葉通りに、俺が責任を取るのはもう少しだけあとの話。