嫌われ神様の生贄。

「人殺し?」
やっと水李が弱音?を離してくれたから、急がさずにゆっくり聞く。
「一時期、力が使えなくなったことがあるんです。それの時、多くの村人が死にました」
そう話す水李の体はものすごく震えている。
「水神なのに、雨を降らせなくて・・・それでッ、人々苦しませたんです」
「そっか」
ここで同情するのも、慰めるのも違うなと思った。
「なあ、だから雨を降らすことが大事なのか?」
「はい」
全てに納得がいった。
多分、雨が降らなくて死んだ人たちを殺したのは自分だと責めているのだろう。
「俺さ、慰め方とか全然どうすればいいのか分からないけど」
一旦に区切って、水李と目を合わす。
「俺は水李の傍から離れないし、自分の責め続けていいことないと俺は思う」
体をずっと震わせていた水李に優しく笑いかける。
「今度こそ、同じ過ちを起こさないようにすればいいんだよ」
「それだったらッ・・・」
「今のまんまだと、水李の体がもたなったら本末転倒だ」
水李は俺に何か言おうとしたけど、俺はそれを許さず言い続ける。