あの後店内で写真をスマホで撮ってもらったり、結菜達と一緒に記念撮影したりした後、あたしは駅まで送ってもらって、ついに日野間駅に降り立った。
時間は十時半。待ち合わせは十一時だから、まだ時間に余裕はあるかな。
でも、あたしからハル君を誘ったんだから、やっぱり待ち合わせに遅れるのは嫌。
そう思って、あたしはそのまま流れで待ち合わせ場所に指定した、ショッピングモール一階にある至福の泉に向かう事にした。
至福の泉。
その名の通り、屋内にあるちょっと幻想的な時計と噴水のある水場で、ここでの待ち合わせスポットとしても有名な場所。
勿論、このショッピングモールを選んだのは、食事だけで終わりたくないって思ってるから。
沢山ってわけじゃないけど、あたしなりに少しでもハル君との距離を縮める作戦を考えてきたんだよね。
でも、うまく実行できるかな……。
駅からショッピングモールまでの道を黙々と歩くあたし。待ち合わせ場所に近づくにつれ、緊張感と不安が募る。
ハル君と学校に毎日登校してる時には、ここまで緊張した事なんてないのに、やっぱ変に意識しちゃってる。
でも、あたしにとって今日は特別な日だし、普段通りでいられなくたって仕方ないじゃん。
喉が渇いてきちゃったけど、何となくこの格好で自動販売機で飲み物を買うのって、イメージが崩れちゃう気がして気が引ける。
ここはハル君と合流して、どこか行くまで我慢我慢。
まずは先に待ち合わせ場所に着いて、少し深呼吸して落ち着かなきゃ。
やっと近くなったショッピングモールの大きな入り口から、そのまま正面奥に見える時計を目指す。
流石に人も多いし、あたしに目を向けてくる人も多いけど、しゃんとして胸を張らないと、折角の服が台無しだもんね。
雪乃さんに作ってもらった服に感謝をしながら、あたしはそのまま歩き続ける──つもりだった。
「……え?」
ぽつり漏らした声と共に、驚いて足を止める。
視線の先、至福の泉の前に何人かいる待ち合わせしているであろう人の中に、スマホを眺めながら立っている、あたしの待ち人ハル君がいた。
何でもういるの?
一瞬過ったそんな言葉は、すぐにどこかに吹き飛んだ。
だって、瞳に映ったハル君が、あまりに輝いていたから。
顔は間違いなく、あたしの大好きなハル君。
だけど、普段のボサボサっとした頭は、ムースか何かで整えたのか。センター分けになってておでこが見えてるし、自然に後ろに流れてるような髪型になってる。
そして何よりあたしの目を引いたのは、ハル君の私服。
中学に入ってからご無沙汰だった私服姿──なんてレベルじゃない。
全体的に白を基調にしたジャケットにシャツとスラックス。
だけど、ベルトとかジャケットの前を閉じるバンドなんかが赤や黒を使っていてワンポイントが際立ってるし、何よりハル君の黒髪によく合ってる。
それはもうアイドルみたいな衣装で、あたしは目が釘付けになっちゃった。
確かに背は低いけど、普段の制服姿なんか比にならない格好良さに、あたしの目は釘付けになっていた。
多分、推しに逢えたファン心理ってこれかもしれない。
ほんと、尊死するくらいには格好良すぎ。今日、こんな素敵なハル君をずっと見てられるって。めっちゃ至福の時じゃん……。
あたしはその場に立ち尽くしたまま、惚けながらハル君を見つめていると、ふっとスマホから目を逸らし顔を上げた彼が、こっちに気づいて驚いた顔をする。
釣られてはっとしたあたしは、慌てて笑顔を見せると、小さく手を振りながら彼に向け歩いて行った。
うっわー。心臓がバクバク言ってる。
あたし、ちゃんと笑えてる? 笑えてるよね?
「お、おはよ」
ドキドキが収まらない中、それでも笑顔を崩さず挨拶をすると、スマホを持ったまま固まっていたハル君が、唖然としたまま声を掛けてきた。
「おう。お前……美桜、だよな?」
「あ、当たり前でしょー。誰かと見間違えるような格好してる?」
「あ、いや。そういうわけじゃないけど」
あたしの指摘に、ハル君がバツが悪そうに目を逸らし、頬を掻く。
少し顔が赤く見えるのは、こんなあたしといるのが恥ずかしいからだったりする? っていうか、もしかしてこの服装、ハズレだった!?
「あ、あのね。この格好、おかしかった?」
いきなり不安が爆発したあたしは、おずおずとそう尋ねてしまう。
それを聞いたハル君が、ハッとしてまたこっちを見た。
「い、いや。全然。似合ってるよ」
似合ってる……。似合ってる……。似合ってる……。
脳内でリフレインした嬉しすぎる言葉に、顔がにやけそうになるのを必死に堪える。
「そ、そっか。ハル君もその格好、凄く似合ってるよ」
「ん? ……あ、ああ。サンキュー」
咄嗟に切り替えした言葉を聞いて、頭を掻いて気恥ずかしげに笑うハル君。
……うっわー。可愛い。可愛い過ぎじゃん。
いきなり色々なハル君が見られるという、あまりに幸せすぎる状況に、あたしの思考が彼一色に染まる。
これだけで、頑張って誘えた甲斐があったよね。
内心めっちゃ浮かれれていたあたし。
何かふわふわしてて、足が地についてない感じがする。
「で。思ったより早いけど、飯にするか?」
「え? あ、えっと……そ、そうだね」
って、違う違う!
浮かれててすっかり忘れてた。
ここでいきなり食事したんじゃ、あたしの計画が台無しじゃん!
「じゃあ行くか?」
「ま、待って!」
「ん? どうしたんだ?」
慌てて呼び止めたあたしを見て、ハル君が首を傾げる。
「あ、あのね。まだお昼にはちょっと早いでしょ?」
「まあ、確かに」
「だから、ちょっとあたしに付き合ってほしいんだけど」
「ああ。買い物の話か」
「ううん。それは後で」
「ん? じゃあ何に付き合えばいいんだ?」
戸惑うハル君を見ながら、あたしは胸のドキドキを抑えるべく胸に手を当て、深呼吸する。
……い、いくよ。
「え、えっとね。観たい映画があるんだけど、一緒にどうかなって」
「映画?」
「う、うん……」
ハル君、OKしてくれるかな……。
おずおずと様子を伺いながら、あたしはハル君からの答えを待った。
何で映画に誘ったのかっていうと、勿論ハル君にあたしを意識してもらおうと思ったから。
この間の公園のベンチで並んで座った時に思ったの。やっぱり少しでもハル君との顔の距離が近づくのが嬉しいって。
だから、映画館でまずその距離を掴む。そして、あわよくば、偶然を装って手を握っちゃったりしたら、ハル君もこっちを意識してくれるかも……。
あたしはそんな、コテコテだけど最高の作戦を決行する事にしたの。
一応、このショッピングモールの映画館でやっている映画に、あたしが見たい恋愛映画、『恋色』こと『恋ってどんな色?』が上映中なのは確認済み。
しかもネットで情報を見たら、五月六日は映画館で特別なイベントがあるって書いてた。内容は秘密らしいけど、もしこれが恋人限定イベントとかだったら、便乗して雰囲気作ったりもできるじゃん?
でも、これだけの事を考えても、ハル君に断られたらそれでおしまい。
神様! どうかハル君がこの誘いを受けてくれますように!
心で強くそう祈っていると、ハル君がこっちを見て口を開いた。
「お前が行きたいっていうなら、別に構わないけど」
「……ほんと?」
「ああ」
「わかった。ありがと」
やったーっ!
その場で飛び跳ね喜びたい気持ちをぐっと抑えて、あたしは笑顔をハル君に向けた。
ありがとう神様! ありがとうハル君!
◆ ◇ ◆
あたしは素敵な格好のハル君とうきうきしながら映画館に向かったんだけど、映画館に着いた瞬間、思わず口をあんぐりとしたまま佇むしかなかった。
いや、だって。だってよ?
何で書き入れ時のゴールデンウィーク中のイベントで、今日だけやっている映画が全部サメ映画なのよ!? だいたい、別に今日なんてサメにちなんだ日じゃないじゃん!
これだけ素敵な服を着てるのに、なんでこんなB級映画を選んだみたいになってるのよ!
「えっと。お前、こういうの好きだったのか?」
あまりに予想外だったのか。ハル君がちょっと怪訝な顔をしたけど、当たり前じゃん。
あたしがサメ映画を見たことも、そういった話をしたこともないし……。
ど、どうしよう……。
この機会を逃したら、一緒に映画なんて観られないかもしれない。
だけど、観られるのはサメ映画。絶対良い雰囲気になんてならないじゃん。
誘ったのはあたし。ここで謝って観るの取りやめちゃってもいいわけ?
頭の中で、ほんの数秒葛藤をしたあたし。
そして出した結果は──。
「う、ううん。でも、たまにはこういうのもいいかなーって。楽しそうだし」
──という、嘘で塗り固められた答えだった。
考え方を変えれば、ハル君と並んで一緒にいられる時間は作れるわけじゃん?
それに、確かにサメ映画って馬鹿にしちゃってるけど、もしかしたら感動的な話の作品だってあるかもしれないし……って、あるの?
『地下道シャーク』に『シャークサイクロン』。『鮫鮫サバイバル』に『時をかけるシャーク』。
……感動要素なんてないでしょ。絶対。
あたしの勘がそう訴えるけど、だからってもう後戻りできない。
「そうか。で、どれを観るんだ?」
「えっと……『時をかけるシャーク』、かな」
多分期待はできないけど、それでも一途の望みを託したのは、このタイトルだった。
時間は十時半。待ち合わせは十一時だから、まだ時間に余裕はあるかな。
でも、あたしからハル君を誘ったんだから、やっぱり待ち合わせに遅れるのは嫌。
そう思って、あたしはそのまま流れで待ち合わせ場所に指定した、ショッピングモール一階にある至福の泉に向かう事にした。
至福の泉。
その名の通り、屋内にあるちょっと幻想的な時計と噴水のある水場で、ここでの待ち合わせスポットとしても有名な場所。
勿論、このショッピングモールを選んだのは、食事だけで終わりたくないって思ってるから。
沢山ってわけじゃないけど、あたしなりに少しでもハル君との距離を縮める作戦を考えてきたんだよね。
でも、うまく実行できるかな……。
駅からショッピングモールまでの道を黙々と歩くあたし。待ち合わせ場所に近づくにつれ、緊張感と不安が募る。
ハル君と学校に毎日登校してる時には、ここまで緊張した事なんてないのに、やっぱ変に意識しちゃってる。
でも、あたしにとって今日は特別な日だし、普段通りでいられなくたって仕方ないじゃん。
喉が渇いてきちゃったけど、何となくこの格好で自動販売機で飲み物を買うのって、イメージが崩れちゃう気がして気が引ける。
ここはハル君と合流して、どこか行くまで我慢我慢。
まずは先に待ち合わせ場所に着いて、少し深呼吸して落ち着かなきゃ。
やっと近くなったショッピングモールの大きな入り口から、そのまま正面奥に見える時計を目指す。
流石に人も多いし、あたしに目を向けてくる人も多いけど、しゃんとして胸を張らないと、折角の服が台無しだもんね。
雪乃さんに作ってもらった服に感謝をしながら、あたしはそのまま歩き続ける──つもりだった。
「……え?」
ぽつり漏らした声と共に、驚いて足を止める。
視線の先、至福の泉の前に何人かいる待ち合わせしているであろう人の中に、スマホを眺めながら立っている、あたしの待ち人ハル君がいた。
何でもういるの?
一瞬過ったそんな言葉は、すぐにどこかに吹き飛んだ。
だって、瞳に映ったハル君が、あまりに輝いていたから。
顔は間違いなく、あたしの大好きなハル君。
だけど、普段のボサボサっとした頭は、ムースか何かで整えたのか。センター分けになってておでこが見えてるし、自然に後ろに流れてるような髪型になってる。
そして何よりあたしの目を引いたのは、ハル君の私服。
中学に入ってからご無沙汰だった私服姿──なんてレベルじゃない。
全体的に白を基調にしたジャケットにシャツとスラックス。
だけど、ベルトとかジャケットの前を閉じるバンドなんかが赤や黒を使っていてワンポイントが際立ってるし、何よりハル君の黒髪によく合ってる。
それはもうアイドルみたいな衣装で、あたしは目が釘付けになっちゃった。
確かに背は低いけど、普段の制服姿なんか比にならない格好良さに、あたしの目は釘付けになっていた。
多分、推しに逢えたファン心理ってこれかもしれない。
ほんと、尊死するくらいには格好良すぎ。今日、こんな素敵なハル君をずっと見てられるって。めっちゃ至福の時じゃん……。
あたしはその場に立ち尽くしたまま、惚けながらハル君を見つめていると、ふっとスマホから目を逸らし顔を上げた彼が、こっちに気づいて驚いた顔をする。
釣られてはっとしたあたしは、慌てて笑顔を見せると、小さく手を振りながら彼に向け歩いて行った。
うっわー。心臓がバクバク言ってる。
あたし、ちゃんと笑えてる? 笑えてるよね?
「お、おはよ」
ドキドキが収まらない中、それでも笑顔を崩さず挨拶をすると、スマホを持ったまま固まっていたハル君が、唖然としたまま声を掛けてきた。
「おう。お前……美桜、だよな?」
「あ、当たり前でしょー。誰かと見間違えるような格好してる?」
「あ、いや。そういうわけじゃないけど」
あたしの指摘に、ハル君がバツが悪そうに目を逸らし、頬を掻く。
少し顔が赤く見えるのは、こんなあたしといるのが恥ずかしいからだったりする? っていうか、もしかしてこの服装、ハズレだった!?
「あ、あのね。この格好、おかしかった?」
いきなり不安が爆発したあたしは、おずおずとそう尋ねてしまう。
それを聞いたハル君が、ハッとしてまたこっちを見た。
「い、いや。全然。似合ってるよ」
似合ってる……。似合ってる……。似合ってる……。
脳内でリフレインした嬉しすぎる言葉に、顔がにやけそうになるのを必死に堪える。
「そ、そっか。ハル君もその格好、凄く似合ってるよ」
「ん? ……あ、ああ。サンキュー」
咄嗟に切り替えした言葉を聞いて、頭を掻いて気恥ずかしげに笑うハル君。
……うっわー。可愛い。可愛い過ぎじゃん。
いきなり色々なハル君が見られるという、あまりに幸せすぎる状況に、あたしの思考が彼一色に染まる。
これだけで、頑張って誘えた甲斐があったよね。
内心めっちゃ浮かれれていたあたし。
何かふわふわしてて、足が地についてない感じがする。
「で。思ったより早いけど、飯にするか?」
「え? あ、えっと……そ、そうだね」
って、違う違う!
浮かれててすっかり忘れてた。
ここでいきなり食事したんじゃ、あたしの計画が台無しじゃん!
「じゃあ行くか?」
「ま、待って!」
「ん? どうしたんだ?」
慌てて呼び止めたあたしを見て、ハル君が首を傾げる。
「あ、あのね。まだお昼にはちょっと早いでしょ?」
「まあ、確かに」
「だから、ちょっとあたしに付き合ってほしいんだけど」
「ああ。買い物の話か」
「ううん。それは後で」
「ん? じゃあ何に付き合えばいいんだ?」
戸惑うハル君を見ながら、あたしは胸のドキドキを抑えるべく胸に手を当て、深呼吸する。
……い、いくよ。
「え、えっとね。観たい映画があるんだけど、一緒にどうかなって」
「映画?」
「う、うん……」
ハル君、OKしてくれるかな……。
おずおずと様子を伺いながら、あたしはハル君からの答えを待った。
何で映画に誘ったのかっていうと、勿論ハル君にあたしを意識してもらおうと思ったから。
この間の公園のベンチで並んで座った時に思ったの。やっぱり少しでもハル君との顔の距離が近づくのが嬉しいって。
だから、映画館でまずその距離を掴む。そして、あわよくば、偶然を装って手を握っちゃったりしたら、ハル君もこっちを意識してくれるかも……。
あたしはそんな、コテコテだけど最高の作戦を決行する事にしたの。
一応、このショッピングモールの映画館でやっている映画に、あたしが見たい恋愛映画、『恋色』こと『恋ってどんな色?』が上映中なのは確認済み。
しかもネットで情報を見たら、五月六日は映画館で特別なイベントがあるって書いてた。内容は秘密らしいけど、もしこれが恋人限定イベントとかだったら、便乗して雰囲気作ったりもできるじゃん?
でも、これだけの事を考えても、ハル君に断られたらそれでおしまい。
神様! どうかハル君がこの誘いを受けてくれますように!
心で強くそう祈っていると、ハル君がこっちを見て口を開いた。
「お前が行きたいっていうなら、別に構わないけど」
「……ほんと?」
「ああ」
「わかった。ありがと」
やったーっ!
その場で飛び跳ね喜びたい気持ちをぐっと抑えて、あたしは笑顔をハル君に向けた。
ありがとう神様! ありがとうハル君!
◆ ◇ ◆
あたしは素敵な格好のハル君とうきうきしながら映画館に向かったんだけど、映画館に着いた瞬間、思わず口をあんぐりとしたまま佇むしかなかった。
いや、だって。だってよ?
何で書き入れ時のゴールデンウィーク中のイベントで、今日だけやっている映画が全部サメ映画なのよ!? だいたい、別に今日なんてサメにちなんだ日じゃないじゃん!
これだけ素敵な服を着てるのに、なんでこんなB級映画を選んだみたいになってるのよ!
「えっと。お前、こういうの好きだったのか?」
あまりに予想外だったのか。ハル君がちょっと怪訝な顔をしたけど、当たり前じゃん。
あたしがサメ映画を見たことも、そういった話をしたこともないし……。
ど、どうしよう……。
この機会を逃したら、一緒に映画なんて観られないかもしれない。
だけど、観られるのはサメ映画。絶対良い雰囲気になんてならないじゃん。
誘ったのはあたし。ここで謝って観るの取りやめちゃってもいいわけ?
頭の中で、ほんの数秒葛藤をしたあたし。
そして出した結果は──。
「う、ううん。でも、たまにはこういうのもいいかなーって。楽しそうだし」
──という、嘘で塗り固められた答えだった。
考え方を変えれば、ハル君と並んで一緒にいられる時間は作れるわけじゃん?
それに、確かにサメ映画って馬鹿にしちゃってるけど、もしかしたら感動的な話の作品だってあるかもしれないし……って、あるの?
『地下道シャーク』に『シャークサイクロン』。『鮫鮫サバイバル』に『時をかけるシャーク』。
……感動要素なんてないでしょ。絶対。
あたしの勘がそう訴えるけど、だからってもう後戻りできない。
「そうか。で、どれを観るんだ?」
「えっと……『時をかけるシャーク』、かな」
多分期待はできないけど、それでも一途の望みを託したのは、このタイトルだった。