【純愛BL】心が読める推しとアイドルユニットを組んだモノガタリ

 相変わらず毎日が忙しくて、時間は早く過ぎていく。

 ネット動画を観ていると、ドラマのスポンサーにもなってくれていた大手化粧品メーカー〝y.a-collect〟のCMが流れてきた。合成の桜を背景に、春色メイクをしたballoonflowerのふたりが出演している爽やかなCMだ。

 もうそんな季節なのか――。

 世間にユニット結成を公表したのは、ドラマ最終回前の時で冬だったけど、balloonflowerでの相方として白桃大知を紹介されてからは、もう少しで一年が経つ。 
 ユニットが決まってからは、本当にあっという間だった。

 白桃大知が相方だったから大きな不満もなく、ここまで来れたんだと思う。

 そして最近、ひとつ大きな変化があった。

 人の心の声が聞こえなくなった――。

 心が読めることを打ち明けたからだろうか。それとも、白桃大知に告白をしたからだろうか。打ち明けた日辺りから、気がつけば人の心が読めなくなっていた。

 雑音が聞こえなくなって、世界が静かだなと感じ、それに気がついた。

 白桃大知には伝えられなかった。

 白桃大知は今、初の主演映画を撮っていて、大事な時期だったから。
 心が読めなくなったのは「僕のせいだ」とか言う可能性もある。それに普段の心の声はお母さんみたいだから、急な変化が起きたけれど体調は大丈夫なのか?とか、ものすごく心配してくると思う。

 映画が終わって、仕事が落ち着いてから報告する予定だ。

 人の心の声が聞こえても聞こえなくてもどっちでもいいやと、もうどうでも良くなっていた。
 白桃大知が隣にいてくれたお陰で気持ちも安定していたし、全てが順調だったから。

 だけど白桃大知が映画を撮り終えた時に、事件は起きた。

 白桃大知が週刊誌に撮られた。白桃大知が出演した映画で相手役だった、清純派女優〝木野宮 華〟が住んでいるマンションの前で。

 記事が公開される3日前、「記事載せます」と事務所の方に連絡が来た。載ると知った後すぐに「迷惑かけてごめんなさい」と白桃大知は何度も謝ってきた。謝って来た時に、どうしてそこにいたのか理由を聞こうか迷ったけれど、ふたりで何をしたのか、男女関係を実際に持ったりしたのか、真実を知るのが怖くて聞けなかった。

 記事が公開されると隅から隅までチェックする。

『映画共演で愛が育ち、リアルな通い愛へと発展』
『大知くんが華ちゃんにベタ惚れらしいと、ふたりと親しい友人は話していた』

 親しい友人って誰だよ……。

 白桃大知は仕事以外の時間は家にいつもいて、リビングで俺とずっと一緒に過ごしているし。いつ親しい友人とかいうやつにそんな恋バナ打ち明けたんだよ。 

 なんて考えながらも、何回も読んでいるうちに真実だと思えてくる。

 SNSのファン達の反応はひどかった。

『ユニットデビューしてから撮られるの早すぎ最低。遥斗くんに迷惑かけないで』
『課金したらその金は彼女のもとへいくのか』
『これからツアーだとかイベントだとか増えそうだけど、ショックでいけないな』……。

 迷惑かけるなよとか嫉妬心とか、マイナスな気持ちが交わり、俺も白桃大知に冷たくしてしまった。ひどい言葉も投げてしまった。

「今が大事な時期なのに恋愛なんか楽しんで……撮られるし、本当に最悪だな。お前のせいで関わった企業とか人、沢山に迷惑かけるかもしれないんだぞ」と。

「恋愛なんかじゃ……、いや、ごめんなさい」

 何か言いたげな雰囲気も察したけど、イライラして聞く余裕もなかった。それから数日一緒にいても気まずい雰囲気で。

 夜中、白桃大知は家から出ていき、それから家に帰ってこなくなった。よりによってそのタイミングでそれぞれ別の現場での仕事が続く。

 頭が冷えてくると、白桃大知の心だけは、ずっと読めたままならば良かったのにと、ないものねだり状態になる。

 相変わらずSNSの白桃大知への中傷は続いていた。ファン以外の、ただ面白おかしく白桃大知を傷つけたいだけの人も参加してきて。だんだんそいつらのことが許せなくなってきた。

 中傷を読んでいくうちに、俺もSNSのやつらみたいに一部だけ切り取り、理由も訊かずに白桃大知を傷つけてしまったんだと反省した。

 同時に『演技や歌が好きだからこれからも応援しています』とか、『これからも遥斗と一緒に前に進んでほしいです。ふたりが好きです』だとか、ひどい反応以外の言葉が目に入ってくるようになってくる。

 正直、気まずいまま白桃大知と会えなくなって、気持ちが沈んでいる。そしてずっと、白桃大知のことばかり考えている。

でもあと三日したら一緒の撮影が。だけどその日まで我慢出来なくなり『白桃、どうしてる? 家に帰ってこいよ』と連絡してみた。

 すぐに既読になり『これ以上迷惑はかけられないので』とだけ返事が来る。

『どこにいる?』と送ると返事は来なくなった。

 白桃大知の性格上、世間に目をつけられた関係の、噂の女といるのはありえないだろう。ありえないと信じたい。マネージャーに電話してみた。

「白桃と打ち合わせしたくて、でも連絡とれないんですけど、どこにいるか分かります?」

 気まずい雰囲気なのを悟られたくて嘘をついた。

「大知くんなら新曲とかセリフとか覚えるのに集中したいからホテルに泊まってるけど、聞いてないの?」
「あ、そうでした。場所聞いたけど、どこでしたっけ?」

 マネージャーから教えてもらい場所を確認すると、タクシーでホテルに向かった。
 着くとすぐに白桃大知に電話をかけた。

「今、ホテルの前にいるんだけど、部屋の番号教えて?」
「なんでいるんですか? 僕が今外に行きます」
「いや、いい。番号教えて?」
「1201ですけど……」

 聞くとすぐに部屋に向かった。
 ドアが少し開いていて、隙間からこっちを覗きながら待っていた白桃大知。俺を見た瞬間に「遥斗くん、なんで泣いてるんですか? とりあえず入ってください」と驚きの表情をみせながら俺の手を思い切り引っ張って、ドアを閉めた。
「なんで泣いてるかって? 白桃の顔を見たからだよ。どうして帰ってこないんだよ……」
「だって、遥斗くんに嫌われたから」
「ふざけるなよ。嫌いじゃねーし」

 俺は白桃大知の肩をぐんと押した。
 人に、こんなに感情をぶつけたのは初めてだ。

「ごめんなさい」

 相手に本音を全力でぶつけるのが慣れてなくて、謝られると罪悪感が湧いてくる。いや、だまって帰ってこなくなったのが悪いんだ。会った瞬間に寂しさや怒りで感情が込み上げてきたけれど、謝られたら治まってきた。今は喧嘩をしに来たわけじゃないし。

「その、撮られた相手とはどんな関係なの?」

 撮られた相手の名前は〝木野宮 華〟だと知っている。だけどなんか、その名前は呼びたくない。

「どんな関係って?」
「その、恋仲とか……」
「そういうのは一切ありません」
「ありませんって、マンション前で撮られてたじゃん」
「マンションには入りましたけど
……」
「中に入ったんだ……」

「だけど、何もやましいことはなくて」
「じゃあ何しに行ったんだよ?」
「はぁ……」

 白桃大知は突然ため息をついた。
 心が読めないから、このため息はとても恐ろしく感じた。

 質問をしすぎて嫌われたのだろうか。
 プライベートを詮索しすぎて嫌がられたのだろうか。
 
 考えこんで下を向いていると、突然両手を握られた。はっとして白桃大知の顔を見る。

「まだ早いけれど、渡したい物があります。帰りましょう」

 渡したいもの? 

 白桃大知は荷物をまとめ、帰る準備をはじめた。じっと見つめていると、強く手を引っ張られ、部屋の外へ。そのまま駐車場に連れられ、助手席に乗せられる。

 車は走り出した。
 
「……白桃の心が分からなくなってから、怖い……」

 きらびやかでにぎやかな街並みが助手席から見えるけれど、俺の心は暗くて静かだった。白桃大知の心の声が聞こえなくなってから、ずっと静かだ。

 白桃大知は自分の話を進んでするわけではない。白桃大知の気持ちが知れて、俺のことを常に想ってくれていると分かっていたのは、心の声が聞こえていたからだ。

「……もしかして、聞こえなくなったんですか?」

 白桃大知は前を見ながら、驚いた様子の表情をしている。

「そう、聞こえなくなった」

 それから車内でふたりは言葉も交わさず、本当に静かになった。

 白桃大知は今も、何を考えているんだろうか。もう何も分からない。

 マンションに着くと、白桃大知は何も言わずにまっすぐ部屋に向かっていく。しばらく出てこない。リビングでひとり取り残され、隣に白桃大知が戻ってきたはずなのに、孤独を感じた。

 しばらくすると、大きな紙袋を持って部屋から出てきた。

「遥斗くん、活動10周年おめでとうございます」
「はっ? 10周年?」
「遥斗くんが初めて撮影した日は分からないけれど、前に遥斗くんがいたグループが結成されて、遥斗くんが世間に初披露された日から10年です」
「10年か……」

〝白桃大知とballoonflowerを結成してから何日目〟かは考えていたけれど……。自分が活動を初めてからどのくらい経ったのかとかは、気にしてなかった。

「これ、どうぞ」

 白い紙袋を渡され、中身を出した。

 黄色のつるつるな鉢植えの上に透明なバルーンが乗っている。バルーンには〝遥斗くん、10周年おめでとう〟と白い文字で書いてあり、そのバルーンの中には薄い紫の桔梗と、かすみ草の造花が並んで入っていた。

「balloonflowerって名前を提案した時、僕の中では『永遠の愛って意味の花言葉がある桔梗』って意味だったけど、遥斗くんは風船の中に花が入ってるやつを想像してて……」
「うん、してた」
「その時にバルーンフラワーのこと可愛いって言っていたので、作ってみました」
「そんな俺の発言まで覚えてるの?」
「はい、遥斗くんの言葉も動きも、ひとつひとつ、忘れません」

 紙袋の中にはまだ何か入っていた。
 2頭身ぐらいの、俺と白桃大知の可愛いぬいぐるみだ。初めてふたり一緒にCMに出た時に着ていた、白い衣装を着ている。

「これは、僕たちもちょっと縫いましたけど、華さんのお姉さんがほとんど作ってくれました」
「……お姉さん?」
「はい、お姉さんもずっと遥斗くんのファンで。ついでに僕も作ってもらいました」
「そうなんだ……」
「あと、1週間後の遥斗くん10周年の当日、SNSチェックしてみてください」
「SNSチェック? 毎日チェックしてるけど」

 そう言うと、白桃大知はふふっと微笑んだ。

 話を詳しく訊くと、木野宮 華とふたりきりになったことは一回もなかったらしい。常にお姉さんもいて、3人で黙々と作業をしていたんだと教えてくれた。最近は特に詰まっていて忙しいスケジュールなのに、忙しい中のわずかなスキマ時間に、俺にバレないように作業をしていたんだと――。

「ありがとう。疑ってごめん」
「僕の方こそ、本当にごめんなさい……」

 自分から白桃大知を抱きしめにいく。
 白桃大知はそれに応えてくれる。俺の背中に手をまわし、ぎゅっと強く抱きしめてくれた。

 俺のために10周年のグッズを作ってくれて、そのせいで白桃大知は世間からたたかれることになったのかと考えると、胸が痛くなる。

「白桃、俺のこと好きか?」
「はい、大好きです」
「本当か?」
「本当です」

 俺は、白桃大知が誰よりも好きで、大切だ――。

 ファンの人たち、世間の人たちにさえ嫌われるかもだけど、俺はある決心をした。
 
 1週間後、10周年の日が来た。
 0時になった時、白桃大知は風呂に入っていた。

 リビングでSNSをチェックしてみると……。

『#水樹遥斗くん10周年おめでとう 初めて見た時からずっと遥斗くんに心を奪われています。辛いことがあった日も、ずっと遥斗くんの存在に助けられてます。これからもずっと僕の心の真ん中には水樹遥斗くんがいます。遥斗くん、おめでとうございます。そしていつもありがとうございます! 白桃大知より』

 白桃大知が書いた文章がballoonflowerの公式アカウントに。ハッシュタグをクリックしてみた。

 ずらずらずらずらと並ぶ、俺へのお祝いの言葉。それはSNSでトレンド入りする程に。

 急いで風呂場へ行くと、脱衣所で白桃大知が上半身裸で立ちながらスマホをいじっていた。

「白桃、ありがとう。嬉しすぎる」

 上半身裸の白桃大知の背中に抱きついた。

「ち、ちょっと……服を着てなくて。あの、抱きつくのは……」
「あ、ごめん」

 恥ずかしくなってきて、急いで離れる。

「僕は、遥斗くんとは相方ですけど、一番のファンでもありますから」
「ありがとう。あの、こんなに沢山祝ってもらったけど、お願いがひとつあって……いい?」
「……はい、遥斗くんのお願いなら何でも訊きます」
「白桃……」

 何でも訊きますって……白桃大知を眺めていると、心の奥からじんとした気持ちが込み上げてきた。

「白桃、今からSNSに俺の気持ちを呟くから。SNSで、全力で返事をしてほしい」

 ひとりでリビングに戻り、スマホを手に取り、自分のアカウントを開く。

『ファンの皆様、お祝いの言葉をありがとうございます。今日まで活動を続けて来れたのはファンの皆様と、支えてくださった皆様のお陰です。 #水樹遥斗くん10周年おめでとう のハッシュタグの言葉、全てを大切に心の中にしまい、これからも皆様に喜んでいただけるように精進いたします。本当にありがとう! みんな大好きです』と、書いた。

 それをアップしてから、もうひとつ別の文章を書く。

『相方の白桃へ お祝いの言葉ありがとう。俺も白桃と出会った時から、ずっと白桃大知という存在に助けられてきた。白桃大知を愛してる。これからもずっと隣にいてほしい。嫌か?』

 SNSで呟くと、ファン宛の方よりも、白桃大知宛に書いた言葉の方の反応がすごかった。ファンたちが次々にいいねやコメントを書いていく。

 脱衣所にいたままの白桃大知が返信してきた。

『嫌なわけがないです。もう遥斗くんに誤解されたり、遥斗くんを泣かせることは絶対にしません。だから僕の隣にずっといてください。これからもずっと一緒にいたいです。遥斗くん、僕は遥斗くんを、世界一愛してます』

 嫌か? と質問することにより煽るというか、強めな返信が来るかなとは考えていたけど、想像以上の返信が来た。

『そんなに前から両思いなの…?尊い』
『やっぱりこのふたり、リアルでも付き合ってるんだよ。だからあの記事はウソ』
『なにそれ、もしかして記事のことで遥斗くんが泣いたの?ってか両想いじゃん。ずっとふたりを見守り隊』

 作戦?は成功した。週刊誌に載った直後に比べると数は落ち着いてきたものの、毎日白桃大知が傷つけられることが書かれていた。男女関係はなかったのが真実だ。なら、俺らが出演していたBLドラマのイメージも利用し、ファンたちの視線を俺らに向けてしまえばいい。

「遥斗くん、返事書きました。本当に嫌だなんて、思うはずがありません。今まで一度もないし、これからも……」

 白いTシャツと短パン姿に着替えた白桃大知が目の前に来た。

「心の声が聞こえなくなってから、本当にずっと不安なんだ」
「なんで不安なんか……」
「白桃がため息をついたり、いつもと少しでも違う時は特に。俺、何か嫌なこと言ったかな? 嫌われてないかな?とか。だって、白桃の話、あんまり聞かせてくれないから……」 
「遥斗くんは、僕の話が聞きたいんですか?」
「うん、聞きたい」
「分かりました。僕も話すので、遥斗くんも本音を沢山教えてください。僕は、遥斗くんの全部が知りたいです」
「うん、分かった」

 白桃大知が微笑んだ。
 白桃大知の笑顔は、俺の心を見透かして全てを包んでくれているようで、尊い。

 白桃大知が、世界一愛おしい――。
 時が経つと、白桃大知への中傷は落ち着き、balloonflowerのふたりはリアルで恋人なのではないかと噂は広まっていった。

 離れるファンも沢山いそうだなと予想していたけれど、仲が良いのをアピールしていったお陰か、人気がもっと出てきた。

 プライベートも順調だ。

 一緒に朝を迎えられる時は、一緒に眠っていた布団の中で「おはよう」を言い合う。

 朝起きると目の前に白桃大知がいるんだ。
 誰よりも信じられる、大切な人が。

 それはきっと、当たり前ではなくて――。

「遥斗くん、出来ました!」
 
 布団から出てソファに座っていると、朝食の準備を終えた白桃大知が俺を呼ぶ。

 一緒の食卓で、白桃大知と一緒に朝ご飯を食べる。

 それも奇跡だ。

 もしも白桃大知が俺のファンじゃなかったら?
 もしも俺らがユニットを組んでいなかったら?
 そして、もう何も聞こえなくなってしまったけれど……もしも心の声を聞く特殊能力がなかったら、俺は別の人生を歩んでいたかもしれない。

 他にも……何かがかけていたら、今の景色は見られなかったかも。

「今日は久しぶりに、一緒に朝ご飯食べれるので、嬉しいです」

ダイニングテーブルで向かい合って座ると、白桃大知が言った。

「俺も、嬉しい」
「遥斗くん」と、突然強い口調で呼ばれた。
「何?」
「朝布団の中で抱きしめている時に気がついてしまったのですが、痩せましたよね? 僕がいない時、きちんとご飯食べてます?」
「い、いや……」

 ひとりの時はおにぎりと牛乳、そして栄養サプリとか。適当に食べて過ごしてしまう日々。

「もう……きちんと食べてください。あと、目の下のクマも気になります。きちんと睡眠もとってください!」

「う、うん。分かった」
「あとは……」

 ユニットを組む前、イベントに参加してくれていた時もずっと、白桃大知の心の中はお母さんみたいに俺を心配していたっけ? 心の声が聞こえなくなっても、こうやって届くように伝えてくれる。だから聞こえなくなってから発生していた不安も、最近は消えていった。

「白桃、本当のお母さんみたいだな」

 白桃大知は俺の言葉を聞いて、はっとした表情をした。

「そんなつもりじゃなくて、ごめんなさい」
「いや、謝られることじゃなくて。嬉しいんだ」
「嬉しい?」
「うん。だって、ずっとイベントに来てくれていた時も心の中がお母さんみたいだなって思っていたから……今もお母さんみたいで」
「お母さんじゃなくて、いや、お母さんでもいいですが。相方でありファンでもあり、そしてなんて言えばいいのか分からないけれど、遥斗くんは僕にとってとにかく一番の人で、遥斗くんにとって僕は一番でありたいです。あれ? 僕は今、遥斗くんに何を伝えたいんだろう」

――もうすでに、一番だし。

 きちんと言葉にして、伝えようとしてくれているのが本当に嬉しい。

「言葉が上手くまとまったら教えて? 知りたいから」
「はい、分かりました」

「よし、現場に向かおうか」
「今日からしばらく同じ現場ですね」

 ふたりで微笑みあった。

 白桃大知と本音を言い合えて、一緒に笑い合えることが、幸せだ。
 隣にいられることが、本当に幸せだ――。

 外に出ると、心地よい風が頬に触れた。
 

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