君という花が、真夜中で咲くときに

「電車賃は、俺が出すから」
「えっ、いや。私が出します」
人に何かをしてもらったことは、あまりない。
だから、「俺が出すから」なんて、想羽さんは優しさでやってくれているんだろうけど、私からしたら困るだけだ。
「年下に払ってもらうほど貧乏ではないから」
片手で私の手首を掴んで、残った手で切符を買われてしまった。
「早く乗るよ」
切符を改札機に入れて、階段をスタスタ上っていく。
歩く速さが、早いからここだけは年上なんだなと思えた。
手を離してもらうことなく、電車に乗せられる。
「結構先の方で、降りるから座って」
想羽は、自分が座った席の横をトントンをたたく。
「座りな」
「・・・・」
「座って?」
黙り続けると、想羽は我慢できなくなったのか先ほど公園で見た怖い笑顔を見せてきた。
「・・・脅し」
「なんて言った?」
やっぱり、想羽は怒らせちゃいけない系の人だ。でも、親子とか、兄弟とか思われそう。
「ねぇ、どこから来たか教えてよ」
笑顔から急に真面目な顔になる。
「教えないよ」
教えたところで何か変わる?変わることなんてない。だったら、言わなくていい。言う必要はない。
「ケチー」
「ケチじゃない」
まずまず、今日はお世話になるけど、今日だけだもん。
「明日には出ていきますから」
「えー、ずっと居てくれてもいいのにー」
そんな、拗ねた子供みたいに言わなくていいのに。