君という花が、真夜中で咲くときに

「俺の名前は想羽」
「犬系男子さん」
「想羽」
「想羽さん」
「想羽」
「想羽さん」
「ああ、もうわかった。想羽さんでいいよ」
「・・・はい」
やっと、『想羽さん』で呼び方が決まったと思えば、また注文を追加してきた。
「敬語なし」
「いやです」
これだけは、譲れない。だって、年上の方には敬語を、と何度も言われてきたのだから。
「なし」
「あり」
犬系d・・・、想羽さんは、やっぱり年上でもない、同年代でもない。
年下な気がする。
だって、私より考えた方が子供だもん。
「・・・わかった。敬語やめる」
想羽さんは、たぶん、私が諦めないと、ずっと『敬語なし』って言ってきそうだもん。
「ん、素直でよろしい」
そう言って、また、頭を撫でてくる。
「子供じゃない」
「子供でしょ?」
「子供じゃない!」
想羽さんは、クスクスと音をたてながら笑う。
「想羽の家はどこ?」
「えっ、今、今!想羽って、呼び捨てで呼んだ!!」
褒められた犬みたいに、目をキラキラさせる想羽。
「・・・やっぱ、犬系男子さんだ」
「なんて?」
さっきまでの犬みたいな顔から一瞬で、はじめの方でみた怖い笑顔になる。
「・・・、なんでもないです」
これ、怒らすとめんどくさいタイプだ。
「よろしい」
ニコッと、楽しそうに笑い、頭を撫でてくる。
こいつ、悪魔だ。だって、普段は犬みたいに笑うのに、怒らすというか地雷?を踏むと腹黒いというか、なんというか、怖い笑みっていうのかな?そんな笑みを浮かべるんだもん。
「いま、なんか失礼なことを考えていたのよね?」
「考えてないよ」
私は、お父さんの前でよく嘘をついていたから、口からスラスラ嘘がでてくる。