君という花が、真夜中で咲くときに

冬の夜はやっぱり、寒い。私は、家から漏れる光を見つめる。
「はーぁー」
口から息を吐くと、白い息が出てきた。寒いのをまぎらわすために、両手をこすって、息を吐く。
息があったかいから、手が少しだけ暖かくなった。上着を着てくればよかったと、今更後悔しても意味がない。
私は、家に帰る気がないからだ。
理由?
それは、家に帰ってもいいことなんて、一つもないから。
「はぁー」
溜息と一緒に白い息も出てくる。なんで、こんなにも、寒いんだろう。
上着は着てないけど、そこまで、薄着でいるわけじゃないのに。
誰もいない場所ってどこにあるのだろう?
ここは、繁華街。だから、夜でも人が山ほどいる。だから、誰もいないところなんてないんだろう。
でも、夜には誰もいない場所を私は知っている。
スマホで、近くに公園があるか調べてみる。五分ほど歩いたところに、小さい公園があるらしい。
足を前に進める。できるだけ、早く。私の家からここまでは、電車で三十分ほど離れた町。
だから、追いつかれることはないと思う。それでも、見つかったら終わりだ。一生、自由なんてない。
そんなこと、『これ』を始めたときからわかっていたことだ。
ずっと、あの家にいるより、こうしている方がマシだ。繁華街から少し、離れたところにポツンと小さい公園があった。
街灯がベンチを照らしていた。夜だからなのか、街頭に照らされているベンチ以外は、全く見えなない。
とりあえず、公園にはいっていくと、小さい滑り台に、ブランコが置いてあった。
ブランコは、二つ並んでいた。街頭に近い方のブランコに腰を下ろす。
久しぶりに、ブランコに乗ったかもしれない。
というか、まずます、外に出歩いたのが久しぶりかもしれない。
最近は、バイトでしか家を出ていなかったっけ。いや、お父さんのお酒を買いに行くのに、すごくあの店にいった。
ふいに、空を見上げてみた。空には、星が輝いてるわけがなく、月すらも顔を出していなかった。
「は、はっは」
どんな星も、月すらも、雲さえあれば、星たちは輝きをなくす。
もし、私が月だったら、雲はお父さんかもしれない。月は、雲さえいなければ、夜はずっと輝ける。
だけど、雲さえいれば、輝きを失ってしまう。
月が私で、雲がお父さん。
やっぱり、同じだ。
空を見ていたはずなのに、至近距離で男の人の顔が見える。
「ねぇ、なんで一人でいるの?」
「えっ」