突然の優の言葉に、それまでぼんやりと中空を見つめていたせつなは戸惑ったように目をパチクリとさせた。
「せつなさんのココロノカケラが、どこにどれだけあるのかは分からない。でも、今私の目の前にはせつなさんがいるの。いるのか分からないココロノカケラを探すことはできないけれど、目の前にいるせつなさんに協力することはできる。ううん。協力したい。だって、友達だもん」
「優ちゃん……」
せつなは息を詰まらせたのか、それだけを言うのが精一杯のようだった。代わりに少女は、優にもう一度しっかりとしがみつき感謝の意を全身で伝える。
それを見ていた浩志は、なんとなく自分だけ蚊帳の外に居るような疎外感を感じた。自分もこれまで協力をしてきたし、これからもそのつもりでいるのにと、内心唇を尖らせる。しかし、ここは口を挟むべきではないと明後日の方を向き口を噤んでいた。
優はせつなと友情の抱擁をしっかりとした後そっと体を離すと、今後の行動を口にする。
「さて、じゃあ時間もない事だしテキパキと行動するわよ! 確認だけど、せつなさんの希望は、お姉さん、蒼井先生の結婚式への参加でいいのかしら?」
「うん」
優の問いに、せつなは涙で濡れた頬を手のひらでグイッと拭う。そして、真っ直ぐな眼差しを優に向けしっかりと肯いた。その反応に、優も笑顔を見せたあと、不満げに浩志に声をかける。
「ちょっと、成瀬。ちゃんと聞いてる?」
二人から視線を逸らし、よそ見をしていた浩志は不意に名前を呼ばれ慌てつつも、聞いていたとばかりに反応を示す。
「お、おう」
「これからのことについて、今から話し合うんだから、よそ見してないでちゃんと聞いて」
「わかってるって」
三人は花壇の前で輪になると、それぞれがお互いの顔を見回し視線で合図をしあった。それから、進行を務めるような口調で優が話を進め始める。
「まず、蒼井ちゃんの結婚式の日取りなんだけど」
「それ。前に日にち言ってなかったっけ?」
浩志が記憶を辿ろうと首を傾げていると、優はそんな浩志に向かって、間髪入れずに答える。
「三月二十五日。次の日曜日よ」
「おい! 今日を入れてあと五日しかないじゃん」
「そうよ。だから時間がないって言ってるでしょ。それでね、せつなさんの移動のことなんだけど。たぶん、意識が学校と言う場所に紐づけされている以上、移動不可だと思った方がいいと思うの」
「なんだよ。じゃあ結局、せつなの希望は叶えられないじゃん」
「せつなさんのココロノカケラが、どこにどれだけあるのかは分からない。でも、今私の目の前にはせつなさんがいるの。いるのか分からないココロノカケラを探すことはできないけれど、目の前にいるせつなさんに協力することはできる。ううん。協力したい。だって、友達だもん」
「優ちゃん……」
せつなは息を詰まらせたのか、それだけを言うのが精一杯のようだった。代わりに少女は、優にもう一度しっかりとしがみつき感謝の意を全身で伝える。
それを見ていた浩志は、なんとなく自分だけ蚊帳の外に居るような疎外感を感じた。自分もこれまで協力をしてきたし、これからもそのつもりでいるのにと、内心唇を尖らせる。しかし、ここは口を挟むべきではないと明後日の方を向き口を噤んでいた。
優はせつなと友情の抱擁をしっかりとした後そっと体を離すと、今後の行動を口にする。
「さて、じゃあ時間もない事だしテキパキと行動するわよ! 確認だけど、せつなさんの希望は、お姉さん、蒼井先生の結婚式への参加でいいのかしら?」
「うん」
優の問いに、せつなは涙で濡れた頬を手のひらでグイッと拭う。そして、真っ直ぐな眼差しを優に向けしっかりと肯いた。その反応に、優も笑顔を見せたあと、不満げに浩志に声をかける。
「ちょっと、成瀬。ちゃんと聞いてる?」
二人から視線を逸らし、よそ見をしていた浩志は不意に名前を呼ばれ慌てつつも、聞いていたとばかりに反応を示す。
「お、おう」
「これからのことについて、今から話し合うんだから、よそ見してないでちゃんと聞いて」
「わかってるって」
三人は花壇の前で輪になると、それぞれがお互いの顔を見回し視線で合図をしあった。それから、進行を務めるような口調で優が話を進め始める。
「まず、蒼井ちゃんの結婚式の日取りなんだけど」
「それ。前に日にち言ってなかったっけ?」
浩志が記憶を辿ろうと首を傾げていると、優はそんな浩志に向かって、間髪入れずに答える。
「三月二十五日。次の日曜日よ」
「おい! 今日を入れてあと五日しかないじゃん」
「そうよ。だから時間がないって言ってるでしょ。それでね、せつなさんの移動のことなんだけど。たぶん、意識が学校と言う場所に紐づけされている以上、移動不可だと思った方がいいと思うの」
「なんだよ。じゃあ結局、せつなの希望は叶えられないじゃん」



