せつなは、宝石のような涙をいくつもいくつも頬に伝わせながら、悔しそうに言葉を紡ぐ。
「せっかくお花が咲いても、お姉ちゃんと一緒に見ることができなかった。中学校へ行けなかった。制服が着られなかった。それは、全部自分が悪いの」
次から次へと溢れ出す涙を手の甲で拭いながら、一生懸命に話すせつなの声は、浩志と優の鼓膜を震わせ続ける。
優は、せつなの声と涙に耐えられなくなったのか、瞳を潤ませ、もらい泣きをしていた。浩志は、泣くまいと、顔を歪ませ、必死に涙に耐えている。
まだ、経験の浅い2人は、せつなに掛ける言葉など、全く心に浮かばず、ただ黙って、せつなの声に耳を傾けることしか出来なかった。
せつなもそれを分かっているのか、胸の内を全て吐き出すかの如く、話し続ける。
「ものすごく心残りで、せつなは、熱に浮かされながら、ずっと願っていたの。新しい制服を着て、学校に行きたいって。お姉ちゃんとお花を見たいって。そしたら……」
そこで、せつなは言葉を切る。涙の溜まった瞳のままで、困ったようにはにかんだ。
「あまりにも強く願ったからかな? 気がついたら、せつなは、制服を着て、ここに居たの。……それからずっと、せつなは1人でここにいるの」
せつなの言葉を拾い、ようやく浩志は、口を開いた。
「それからって……? もしかして、15年前からか?」
「多分、そう。せつなには、もう何年とかそう言う、時間経過はわからない。ただ、わかるのは、アレから、ずっと独りぼっちだった。だって、誰にもせつなの事は見えなかったから」
「じゃあ、どうして、私たちには、せつなさんのことが見えるの?」
もらい泣きで瞳を赤くしながら、優が訊ねると、せつなは首を横に振る。
「詳しいことは、分からない。でも、お姉さん……優ちゃん……は、せつなの存在を認識していたから、見ることが出来たんじゃないかなって思う」
「確かに、そうかもね」
優は、1つ肯いて、浩志の方を見る。
「じゃあ、成瀬はどうして、せつなさんのことが見えたの?」
「それが、全く理由が分からないの。実は、最近になってもう1人、せつなのことが見える人が現れたんだけど、その人はちょっと特殊な人で……その人の推測では、成瀬……くんは、せつなの心に共鳴したんじゃないかって」
「共鳴?」
せつなが初めて、浩志の事を名前で呼んだため、浩志は目を丸くして驚きながらも、せつなの話に聞き入っている。
「せっかくお花が咲いても、お姉ちゃんと一緒に見ることができなかった。中学校へ行けなかった。制服が着られなかった。それは、全部自分が悪いの」
次から次へと溢れ出す涙を手の甲で拭いながら、一生懸命に話すせつなの声は、浩志と優の鼓膜を震わせ続ける。
優は、せつなの声と涙に耐えられなくなったのか、瞳を潤ませ、もらい泣きをしていた。浩志は、泣くまいと、顔を歪ませ、必死に涙に耐えている。
まだ、経験の浅い2人は、せつなに掛ける言葉など、全く心に浮かばず、ただ黙って、せつなの声に耳を傾けることしか出来なかった。
せつなもそれを分かっているのか、胸の内を全て吐き出すかの如く、話し続ける。
「ものすごく心残りで、せつなは、熱に浮かされながら、ずっと願っていたの。新しい制服を着て、学校に行きたいって。お姉ちゃんとお花を見たいって。そしたら……」
そこで、せつなは言葉を切る。涙の溜まった瞳のままで、困ったようにはにかんだ。
「あまりにも強く願ったからかな? 気がついたら、せつなは、制服を着て、ここに居たの。……それからずっと、せつなは1人でここにいるの」
せつなの言葉を拾い、ようやく浩志は、口を開いた。
「それからって……? もしかして、15年前からか?」
「多分、そう。せつなには、もう何年とかそう言う、時間経過はわからない。ただ、わかるのは、アレから、ずっと独りぼっちだった。だって、誰にもせつなの事は見えなかったから」
「じゃあ、どうして、私たちには、せつなさんのことが見えるの?」
もらい泣きで瞳を赤くしながら、優が訊ねると、せつなは首を横に振る。
「詳しいことは、分からない。でも、お姉さん……優ちゃん……は、せつなの存在を認識していたから、見ることが出来たんじゃないかなって思う」
「確かに、そうかもね」
優は、1つ肯いて、浩志の方を見る。
「じゃあ、成瀬はどうして、せつなさんのことが見えたの?」
「それが、全く理由が分からないの。実は、最近になってもう1人、せつなのことが見える人が現れたんだけど、その人はちょっと特殊な人で……その人の推測では、成瀬……くんは、せつなの心に共鳴したんじゃないかって」
「共鳴?」
せつなが初めて、浩志の事を名前で呼んだため、浩志は目を丸くして驚きながらも、せつなの話に聞き入っている。