「そういえばさ、結局、ココロノカケラって何なんだ?」
「ああ。それは、実はせつなもよく分かってないんだけど、強く願った心の一部が、その場に留まってるってことみたい」
「心の一部?」
「せつなの場合は、お姉ちゃんたちと、お花の種まきをした時かな。泥だらけになったけど、すごく楽しくて、お花が咲くところを見たいと思ったの。せつなはそれからすぐ……」
「ああ……あの写真の時か」
浩志は、先程小石川から聞いた話を思い出した。確か、せつなは、その3日後に、亡くなったと聞いた。
「あれ? でも、あの写真は確か、制服なんて着てなかったような……」
「そうね。確かにそうだったわ」
浩志が首を傾げながら言うと、優もそれに同意の意を示す。
「それもせつなの心残りだったこと。せつなは、本当なら、あの春に入学するはずだったの。お姉ちゃんたちと同じこの学校に。新しい制服を用意して、入学が待ち遠しかった。中学生になったら、この制服に袖を通して、毎日学校に通うんだとそう思ってた。でも、それは、叶えることが出来なかった」
せつなは、寂しそうな影をその幼い顔に落として、昔語りを静かに続ける。
「せつなは、体が弱くて、小学校にはあまり通えなかったの。だから、ともだちもあまりいなくて……でも、手術をして、元気になったら中学校には通えるって、お医者さんに言われてたの。だから、がんばって、お医者さんの言う通り、手術をして、もうすぐ退院だった。そんな時、お姉ちゃんが学校の花壇に種まきをするって聞いて、どうしてもせつなも一緒にやりたいとお願いしたの。少しでも早く学校に行ってみたかったから」
せつなは、そこで言葉を切った。その隙を突いて、浩志が口を開く。
「手術をしたんだろ? もうすぐ退院だったんだろ? それがどうして……?」
「それは……せつなが……自分が悪いの」
せつなは、目を伏せ、悔しそうに唇を噛む。
「お医者さんは、条件付きで外出許可をくれた。せつなは嬉しくて、少しはしゃいでしまったの。お医者さんは、外出の許可はくれたけど、土いじりはダメだと言っていた。まだ免疫力の弱いせつなには、土の中のバイキンは良くないからと。それなのに、せつなは、お医者さんとの約束を破ってしまったの。だって、せっかく、学校に来たのに、見ているだけなんてつまらないから。十分に気を付ければ大丈夫だと思っていた」
「ああ。それは、実はせつなもよく分かってないんだけど、強く願った心の一部が、その場に留まってるってことみたい」
「心の一部?」
「せつなの場合は、お姉ちゃんたちと、お花の種まきをした時かな。泥だらけになったけど、すごく楽しくて、お花が咲くところを見たいと思ったの。せつなはそれからすぐ……」
「ああ……あの写真の時か」
浩志は、先程小石川から聞いた話を思い出した。確か、せつなは、その3日後に、亡くなったと聞いた。
「あれ? でも、あの写真は確か、制服なんて着てなかったような……」
「そうね。確かにそうだったわ」
浩志が首を傾げながら言うと、優もそれに同意の意を示す。
「それもせつなの心残りだったこと。せつなは、本当なら、あの春に入学するはずだったの。お姉ちゃんたちと同じこの学校に。新しい制服を用意して、入学が待ち遠しかった。中学生になったら、この制服に袖を通して、毎日学校に通うんだとそう思ってた。でも、それは、叶えることが出来なかった」
せつなは、寂しそうな影をその幼い顔に落として、昔語りを静かに続ける。
「せつなは、体が弱くて、小学校にはあまり通えなかったの。だから、ともだちもあまりいなくて……でも、手術をして、元気になったら中学校には通えるって、お医者さんに言われてたの。だから、がんばって、お医者さんの言う通り、手術をして、もうすぐ退院だった。そんな時、お姉ちゃんが学校の花壇に種まきをするって聞いて、どうしてもせつなも一緒にやりたいとお願いしたの。少しでも早く学校に行ってみたかったから」
せつなは、そこで言葉を切った。その隙を突いて、浩志が口を開く。
「手術をしたんだろ? もうすぐ退院だったんだろ? それがどうして……?」
「それは……せつなが……自分が悪いの」
せつなは、目を伏せ、悔しそうに唇を噛む。
「お医者さんは、条件付きで外出許可をくれた。せつなは嬉しくて、少しはしゃいでしまったの。お医者さんは、外出の許可はくれたけど、土いじりはダメだと言っていた。まだ免疫力の弱いせつなには、土の中のバイキンは良くないからと。それなのに、せつなは、お医者さんとの約束を破ってしまったの。だって、せっかく、学校に来たのに、見ているだけなんてつまらないから。十分に気を付ければ大丈夫だと思っていた」