優の話に、浩志は首を傾げる。
「何だよ、花壇の話じゃないのかよ? ってか、それ、いじめか? テレビとか、漫画で見るような? 結構陰湿だな」
浩志が顔を曇らせると、優は首を横に振った。それに合わせて、彼女の頭の高い位置で結ばれたポニーテールがゆらゆらと揺れる。すると、ふわりといい香りが浩志の鼻に届き、思わず彼の視線は、そちらへと引き寄せられてしまった。
そんな浩志の少し熱を含んだ視線には気づかず、優は話を続ける。
「違うの。そう言うのじゃなくて、折り紙で作られた一輪の花なんだって」
彼女の答えは、特に緊迫感を感じられず、彼は拍子抜けしてしまった。
「何だよ。それじゃあ、そんなに大騒ぎすることでもないだろ。誰かの置き忘れとかじゃないのか?」
「それが、これまでに何度もあったみたいなの。だから、置き忘れとかではなさそうだって……」
「どう言う事だよ?」
「なんかね、毎朝、誰か1人の机にだけ、それが、置かれているみたいなんだよね」
「毎日? 特定の誰かとかじゃなくて、色んな奴に? その折り紙の花を、配ってるって事か?」
「う〜ん。わかんない。でも、そう言うことがここ最近、毎日起きているって話だよ」
「ふ〜ん」
浩志は、唇を尖らせ、天を仰いだ。
(そんな事をして、何がしたいんだろう。新手の嫌がらせか? それとも、趣味の披露か? どちらにしても、俺がされたらなんかイヤだな。不気味というか、気持ち悪い……)
そんな事を考えて、念のために、優に確認を取る。
「うちのクラスではないよな? そんな話、聞いたことないし……」
「あ、うん。うちのクラスじゃなくて……絶対誰にも言わないでよ」
優は、唇の前で人差し指を1本立てる。そして、少しだけ上目遣いをして、浩志を見上げた。
その仕草に、またしても彼はドギマギとしてしまう。彼女のこういう何気ない仕草に、最近彼の心は、簡単に乱されてしまうのだ。
そんな乱れた心を悟られないように、平静を装いながら、彼は肯く。
「あ、ああ。言わねぇーよ」
「あのね、それ、小石川先生のクラスで起きてるらしいの」
「こいちゃんのクラス……1年2組か」
そう聞いて、優によって乱れた浩志の心の中に浮かんだのは、最近、夕刻に目にしている、少女の背中だった。
「何だよ、花壇の話じゃないのかよ? ってか、それ、いじめか? テレビとか、漫画で見るような? 結構陰湿だな」
浩志が顔を曇らせると、優は首を横に振った。それに合わせて、彼女の頭の高い位置で結ばれたポニーテールがゆらゆらと揺れる。すると、ふわりといい香りが浩志の鼻に届き、思わず彼の視線は、そちらへと引き寄せられてしまった。
そんな浩志の少し熱を含んだ視線には気づかず、優は話を続ける。
「違うの。そう言うのじゃなくて、折り紙で作られた一輪の花なんだって」
彼女の答えは、特に緊迫感を感じられず、彼は拍子抜けしてしまった。
「何だよ。それじゃあ、そんなに大騒ぎすることでもないだろ。誰かの置き忘れとかじゃないのか?」
「それが、これまでに何度もあったみたいなの。だから、置き忘れとかではなさそうだって……」
「どう言う事だよ?」
「なんかね、毎朝、誰か1人の机にだけ、それが、置かれているみたいなんだよね」
「毎日? 特定の誰かとかじゃなくて、色んな奴に? その折り紙の花を、配ってるって事か?」
「う〜ん。わかんない。でも、そう言うことがここ最近、毎日起きているって話だよ」
「ふ〜ん」
浩志は、唇を尖らせ、天を仰いだ。
(そんな事をして、何がしたいんだろう。新手の嫌がらせか? それとも、趣味の披露か? どちらにしても、俺がされたらなんかイヤだな。不気味というか、気持ち悪い……)
そんな事を考えて、念のために、優に確認を取る。
「うちのクラスではないよな? そんな話、聞いたことないし……」
「あ、うん。うちのクラスじゃなくて……絶対誰にも言わないでよ」
優は、唇の前で人差し指を1本立てる。そして、少しだけ上目遣いをして、浩志を見上げた。
その仕草に、またしても彼はドギマギとしてしまう。彼女のこういう何気ない仕草に、最近彼の心は、簡単に乱されてしまうのだ。
そんな乱れた心を悟られないように、平静を装いながら、彼は肯く。
「あ、ああ。言わねぇーよ」
「あのね、それ、小石川先生のクラスで起きてるらしいの」
「こいちゃんのクラス……1年2組か」
そう聞いて、優によって乱れた浩志の心の中に浮かんだのは、最近、夕刻に目にしている、少女の背中だった。