上級生の言葉に、せつなは、ピクリと体を震わせたが、特に言葉を発しようとはしなかった。

 その様子を、少女たちの後ろから眺めていた浩志は、この後どんな展開になるのだろうと、ぼんやりと話の続きを待っていたが、二人ともが特に口を開く様子もなく、ただただ、2月の冷たい風にさらされるだけの状況に、浩志はたまらず声をあげた。

「それじゃあ、俺は、これで……」
「えっ? そうなの? この子は?」

 上級生は、地面近くにいるせつなを視線で示す。

「さぁ。俺も、たまたま見かけて声を掛けただけなので、どうするかは、本人に聞いてください」
「あ~、うん。分かった。 きみも、また気が向いたら、ここへおいで~。中等部でも園芸部に入部できるか、先生に確認しておくよ」

 やはり、園芸部への入部をごり押ししてくる、上級生に、苦笑いを向けてから、浩志は、寒そうに、両肩を縮めて、校舎内へと戻っていった。