頬に軽く口づけて、文兵衛は指先に力を込めてきた。

「また余計なことを考えている。ない頭を使うんじゃない」
「あ、っ、や、そこは、変に、な……」
「分かった分かった、無理して我慢するんじゃあない」

 適当にあしらわれた。僕の拒絶は聞き入れられず、手はみだらな動きを止めない。

「や、あ、あ、ん……んっ」

あっという間に境界線を踏み越え、文兵衛のてのひらに白濁を飛び散らせた。
ぜんまいがぷつんと切れ、意識が遠くなる。
おぼろげな記憶の中で旦那さまの袖を握りしめた。

「シロネ……」

頭にこつんとあごが乗せられた。甘い吐息とともに、ぐったりと文兵衛がもたれ掛かってきた、そんな気も、した。