「シロネ」

 思い切り抱きしめられる。

「お前を、愛している」

 反動で倒れこんだ。銀髪が目の前でさらさらと揺れる。吸い寄せられるように唇を重ねられた。

「旦那さま、僕、幸せです」

 銀髪に指を伸ばし、まつげを震わせた。
 ふと思う。きらめく銀髪は、厳しい冬を耐え抜くシンイ……つぼみのさまに似ている。そして、凛と上を向く姿はまさに、早春に咲き誇るこぶしの花だった。