姉は婿との間にシロネを産んだのち、衰弱死。シロネは婿の郷里――大井――へと引き取られ、店から姿を消した。当時、文兵衛十二歳、字七、七歳。姉の死に対して自責の念が強い文兵衛と、字七の間には決定的な溝が深まってゆく。 姉の死から十八年。運命は巡り、シロネは南天健寿堂にいた――。