森林の闇深さは人間に本能的な恐怖を与えた。妖はこういう暗がりに現れるのかもしれない。
永遠に続くと思われた夜にも朝は訪れる。徐々に空が明るみ始めたころ、一行は大井やの屋敷にたどり着いた。
霧がかった門に人影が浮かび上がる。父だ。お互いに驚き、歩み寄る。
「……父さん」
「村長からお前の旦那が倒れていると聞いた」
腰の曲がった父は僕の両肩をつかんだ。強い力に思わず身じろぐ。
「あの薬を譲渡した責任がある。ちょうど夜が明けてから、南天健寿堂さまに急いで向かおうとしていた。……お前らのように、今は馬なんて高価なもんは持てないから、歩きになるがな」
永遠に続くと思われた夜にも朝は訪れる。徐々に空が明るみ始めたころ、一行は大井やの屋敷にたどり着いた。
霧がかった門に人影が浮かび上がる。父だ。お互いに驚き、歩み寄る。
「……父さん」
「村長からお前の旦那が倒れていると聞いた」
腰の曲がった父は僕の両肩をつかんだ。強い力に思わず身じろぐ。
「あの薬を譲渡した責任がある。ちょうど夜が明けてから、南天健寿堂さまに急いで向かおうとしていた。……お前らのように、今は馬なんて高価なもんは持てないから、歩きになるがな」