初めての舞台はお世辞にも上手いとは言えなかった。

だけどステージに立っている間は俺たちが一番注目を集めていて、
俺たちが一番かっこいいと確信が持てた。

緊張と興奮で震える手ではいつも通りには弾けなくて、
それでも何度も繰り返し練習したフレーズだけは上手くいった。

あ、今できた。

俺がほっとしたら、左側でギターを奏でる水野が満面の笑みをこちらに向けている。

ほらな。
いいねぇ!とあいつの言葉が届くのだ。

走るテンポに必死に食らいついて、時々水野とキメを合わせて、あれは紛れもなく俺たちの青春だった。
胸を張って言える。

なんのハリもなかった俺の日常に、あっという間に自信が咲いた。