出会いは高校だった。
2年生で初めて同じクラスになった、はずだ。
あの頃の俺には目標もやりたいことも何もなくて、だからか記憶が全て薄暗い。
でもそうだ。
何となく選んだ文系クラスで、水野と初めて会ったんだった。
進級から2ヶ月くらい経った頃、まったく話したことがなかったはずの水野から声をかけられた。
「なあ、矢田ってベース弾けるって本当?」
当時の水野は制服を校則ギリギリに着崩して、
髪の毛を何がどうなっているのか俺には理解不能な形に編み込んで、
交友関係も仲間内だけでつるんでいる感じがあってちょっと近寄りがたかった。
対して俺は必要なこと以外喋らずに教室の隅で本を読んでいるような学生だった。
友だちがいなかったわけではなく、今思えばただ寡黙な自分に酔っていただけだ。
「弾けるって言っても兄貴のを少し触ってるくらいだよ」
「それでもいいよ!バンドにベースが足りないんだ。協力してくれ!」
どこからその情報は漏れたのか、文化祭の有志バンドへの誘いだった。
2年生で初めて同じクラスになった、はずだ。
あの頃の俺には目標もやりたいことも何もなくて、だからか記憶が全て薄暗い。
でもそうだ。
何となく選んだ文系クラスで、水野と初めて会ったんだった。
進級から2ヶ月くらい経った頃、まったく話したことがなかったはずの水野から声をかけられた。
「なあ、矢田ってベース弾けるって本当?」
当時の水野は制服を校則ギリギリに着崩して、
髪の毛を何がどうなっているのか俺には理解不能な形に編み込んで、
交友関係も仲間内だけでつるんでいる感じがあってちょっと近寄りがたかった。
対して俺は必要なこと以外喋らずに教室の隅で本を読んでいるような学生だった。
友だちがいなかったわけではなく、今思えばただ寡黙な自分に酔っていただけだ。
「弾けるって言っても兄貴のを少し触ってるくらいだよ」
「それでもいいよ!バンドにベースが足りないんだ。協力してくれ!」
どこからその情報は漏れたのか、文化祭の有志バンドへの誘いだった。