同窓会では酒も進み、ほとんど全員がほろ酔い状態になっている。
あの頃のように突然脱ぎ出すやつや奇声を発するやつはいない。
いい歳になって、分別がついたとはこういうことか。ほんの少し寂しい。
水野は烏龍茶を飲み、一人冷静な顔をしている。
明日は日曜だが、芸能人の水野には関係ない。
明朝早く仕事でもあるのかもしれない。
水野の正面に座っていたのは、当時俺たちのバンドにサポートで入りドラムを叩いてくれていた男だ。
水野の厳しい要求に幾度となく耐えてくれた。
「俺からしたら、水野がバンドを続けてること自体奇跡だよ。
昔何度泣かされたか」
客が増えてきて、店がガヤガヤし出したのでよくは聞こえないが昔話で盛り上がっているのだろう。
水野の苦笑いと、ごめんねと言う口の動きが見えた。
「水野、結婚は?しないの?」
みんな水野に会うのは大学以来なのだ。
質問攻めにあうのも仕方ない。
そのとき、ポケットにしまっていた社用のスマホが鳴った。
今日は現場立ち会いを後輩に任せていた。何かあれば連絡するように言っておいたのだ。
着信画面にはやはりその後輩の名前が表示される。
「もしもし、お疲れ。
納品終わった?」
俺は電話に出ながら店員が慌ただしく動く店内をかき分けて店の外へ出る。
「あーそれね。うん、前と同じでいいよ。でも一応確認してくれる?」
居酒屋の戸を後ろ手に閉めつつ後輩の話を聞いていたら、
閉まった戸が再び開けられた。
すぐに体を脇に避け、出ようとする人に道を譲る。
しかし、その人は俺の隣で立ち止まった。
スマホを耳に当てたまま、横に立った人影を覗くと、水野だった。
心臓が出てきそうなほどどくんと脈打った。
あの頃のように突然脱ぎ出すやつや奇声を発するやつはいない。
いい歳になって、分別がついたとはこういうことか。ほんの少し寂しい。
水野は烏龍茶を飲み、一人冷静な顔をしている。
明日は日曜だが、芸能人の水野には関係ない。
明朝早く仕事でもあるのかもしれない。
水野の正面に座っていたのは、当時俺たちのバンドにサポートで入りドラムを叩いてくれていた男だ。
水野の厳しい要求に幾度となく耐えてくれた。
「俺からしたら、水野がバンドを続けてること自体奇跡だよ。
昔何度泣かされたか」
客が増えてきて、店がガヤガヤし出したのでよくは聞こえないが昔話で盛り上がっているのだろう。
水野の苦笑いと、ごめんねと言う口の動きが見えた。
「水野、結婚は?しないの?」
みんな水野に会うのは大学以来なのだ。
質問攻めにあうのも仕方ない。
そのとき、ポケットにしまっていた社用のスマホが鳴った。
今日は現場立ち会いを後輩に任せていた。何かあれば連絡するように言っておいたのだ。
着信画面にはやはりその後輩の名前が表示される。
「もしもし、お疲れ。
納品終わった?」
俺は電話に出ながら店員が慌ただしく動く店内をかき分けて店の外へ出る。
「あーそれね。うん、前と同じでいいよ。でも一応確認してくれる?」
居酒屋の戸を後ろ手に閉めつつ後輩の話を聞いていたら、
閉まった戸が再び開けられた。
すぐに体を脇に避け、出ようとする人に道を譲る。
しかし、その人は俺の隣で立ち止まった。
スマホを耳に当てたまま、横に立った人影を覗くと、水野だった。
心臓が出てきそうなほどどくんと脈打った。