入社して数年が経ったその日は、研修の一環で一緒に外回りをすることになった新入社員とラーメン屋で昼休憩の食事をとった。
店内で流れるラジオから、
聞き馴染んだパーソナリティーとゲストの声がする。
『水野くん、カップリングはこれ恋の歌なんじゃないの?』
『恋の歌じゃなくて、俺の歌です』
『深〜いね〜!』
深いのか?
水野の言葉に純粋な笑いが漏れてしまう。
「矢田さん、ハリーアップ好きですか?」
「まあ、普通かな」
毎度CDを買っているくせに、口から嘘がこぼれてしまった。
「俺新曲出たらすぐ買うくらい好きなんですけど、今回のこの曲良いんですよ。
タイトルは意味わかんないすけど、天才水野の心の声って感じで」
「ええ?ハリーアップの曲でそんなの思ったことないけど」
「そうすか?でもこの曲はなんか違います。
好きも愛してるも言ってないけど、きっとラブソングなんですよ」
ラーメンを啜りながら、自慢げにハリーアップについて語ってくれる。
俺が新人の頃はこんなふうにハキハキと先輩に話しかけられなかった。
将来有望な後輩が教えてくれた楽曲に耳を傾けた。
いつか、俺の知る素敵な水野の話をこいつに話してあげようと思った。
店内で流れるラジオから、
聞き馴染んだパーソナリティーとゲストの声がする。
『水野くん、カップリングはこれ恋の歌なんじゃないの?』
『恋の歌じゃなくて、俺の歌です』
『深〜いね〜!』
深いのか?
水野の言葉に純粋な笑いが漏れてしまう。
「矢田さん、ハリーアップ好きですか?」
「まあ、普通かな」
毎度CDを買っているくせに、口から嘘がこぼれてしまった。
「俺新曲出たらすぐ買うくらい好きなんですけど、今回のこの曲良いんですよ。
タイトルは意味わかんないすけど、天才水野の心の声って感じで」
「ええ?ハリーアップの曲でそんなの思ったことないけど」
「そうすか?でもこの曲はなんか違います。
好きも愛してるも言ってないけど、きっとラブソングなんですよ」
ラーメンを啜りながら、自慢げにハリーアップについて語ってくれる。
俺が新人の頃はこんなふうにハキハキと先輩に話しかけられなかった。
将来有望な後輩が教えてくれた楽曲に耳を傾けた。
いつか、俺の知る素敵な水野の話をこいつに話してあげようと思った。