「懐かしいなあ、この感じ。この居酒屋こんなに綺麗だったか?」

部長と二人、先に入店しておくことになった。
数年ぶりに合わせた顔に増えていた笑い皺が、なぜか懐かしい。

「昔来てた店じゃないだろ。店名変わってるし」

「そうかそうか、俺らも年取るよなあ」

部長が選んで予約してくれたこの店は通っていた大学に近い。
そして俺にとっては思い出も深い。

「俺大学のとき、ここでバイトしてた」

「ええ、そうだっけ。そう言われたらそうかも。なんか懐かしいとか言ったけど全然覚えてないな」

現役時代はよく客としてこいつとも飲みに来たが、昔のことだ。忘れて当然だろう。

しばらくすると懐かしい面々が続々と店に入ってくる。
急な誘いだったが出席率はなかなか良さそうだ。