STEは南アフリカに入った。今年はここからツアーをスタートさせる。まずはコンサート会場にて、入念な打ち合わせとリハーサルが行われた。リハーサルの最中、流星は現場監督に何度も注意される場面があった。
「ムーン、今のとこ、君だけ離れすぎだよ。」
「はい、すみません。」
「ムーン、まだ離れすぎだ。」
「すみません。」
そこで、光輝が、
「流星くん、このターンの時、踏み出す一歩が大きいんだよ。そこに気を付ければ大丈夫だよ。」
と、横からアドバイスした。
「うん、分かった。」
それで、問題は解決した。その後、一度休憩に入った時に篤が光輝に歩み寄った。
「光輝、お前はプロだな。」
「え?何が?」
「いろいろあっても、ちゃんと流星にアドバイスしてさ。仕事とプライベートは分けるって、かっこいいじゃん。」
篤がそう言って、光輝の頭を撫でた。
「まあね。っていうか、いろいろって何だよ。何もないよ。」
「そうかあ?」
篤は笑って去って行った。光輝は、今篤に撫でられた頭を自分でちょっと触った。
「……キュンとしたか?……。」
そして、首を傾げた。
いよいよコンサートが始まった。たくさんのフェローたちが会場を埋め尽くしている。数曲歌った後、ステージの真ん中でMCをした。
「フェロー!」
涼が叫ぶと、
「キャー!!」
と、客席を埋めるフェローの歓声が響いた。
「ハロー!」
と、碧央が言い、
「I’m coming!(帰って来たよー)」
と、篤が言うと、
「オ・カ・エ・リー!」
と、会場のフェローから一斉に返事があった。
「わーあ、感激だね!日本語だ!」
それを聞いて瑠偉が言った。
「サンキュー、フェロー!」
光輝も叫んだ。次は流星が話す。
「Thank you fellow! We are coming. We have been ~ %&#$。」
つまり、流星は英語でペラペラとしゃべった。
「ワー!」
そして、再び音楽が流れ、STEが歌を歌い始めた。
コンサートも終盤にさしかかり、ステージからそれぞれ2、3人ずつに分かれてアリーナ席の間の通路へ入り、そこでダンスをした。光輝がダンスをしていると、隣にあった照明器具がバチンと音を立て、火花を散らした。光輝はそれに気づいていなかった。光輝のすぐ後ろにいた流星は、
「光輝、危ない!」
と言って、光輝に覆いかぶさった。2人が倒れた所へ、照明器具が倒れて来た。
「うわぁっ。」
流星が悲鳴を上げた。近くの客席からも悲鳴が上がる。
「流星くん!?」
光輝が叫んだ。スタッフが駆けつけてきて、照明器具をどかした。すると、流星の衣装の背中に、黒く焼け焦げた跡が付いていた。
「大変だよ!早く冷やさなきゃ!」
光輝が言うと、
「大丈夫だ。ここで引っ込んだらフェローが心配するだろ。あと2曲で終わりだから。」
と、流星が言った。
「でも!」
光輝が食い下がるも、
「平気だよ。ほら。」
流星はそう言って飛び跳ねて見せた。そうして、最後までコンサートをやり遂げ、みな楽屋へ戻った。
「流星!大丈夫か?怪我は?」
舞台袖にいた内海が、やっと引っ込んできた流星に飛びついた。そして、黒く焼け焦げた跡のあるジャケットを脱がせた。すると、下に着ていたシャツも、焦げていた。
「これ、まさか皮膚にくっついてるんじゃないだろうね。」
内海の言う通りだった。服を脱ぐことが出来ず、流星はそのまま病院へ行ったのだった。
STEメンバーとスタッフは、会場近くのホテルに泊まる事になっていた。そこへ病院から内海と流星が戻って来た。
「流星くん!大丈夫?」
瑠偉が真っ先に声を掛けた。
「ああ、何ともないよ。」
流星が微笑して答える。
「何ともなくはないぞ。これじゃ、あまり激しく踊れないんじゃないかな。」
しかし、内海がすかさずそう言った。
「俺のダンスなんて、どのみち大した事ないからさ、問題ないよ。これが光輝だったら大変だったよ。フェローたちは光輝のダンスを楽しみにしているんだからさ。」
流星がそう言うと、
「自虐的だなあ、流星。でも、俺からも礼を言うよ。光輝を守ってくれてありがとな。」
篤がそう言った。すると、
「お前に礼を言われる筋合いはないぞ。」
ツンとして流星はそう言ってから、自分でぷっと噴き出した。みんなで何となく笑う。
「じゃあ、夕食にしよう。ああそうだ、これ。」
内海は持っていた袋を流星に渡した。
「入浴後にこの薬を塗って、ラップした上から包帯を巻くんだぞ。と言っても、自分で薬は塗れないな。必要な時に声を掛けなさい。」
内海がそう言った。
「はい。でも、誰か近くにいるメンバーにやってもらうので、大丈夫です。」
流星はそう言って、薬を受け取った。
食事を終え、みんなで何となくしゃべったり、ゲームしたりして過ごし、明日の打合せをして解散という事になった。もっと前に自分の部屋へ行くメンバーがいても良さそうなものだが、寝るギリギリまで7人で一緒にいるのがSTEである。
「よし、じゃあ解散。お休みー。」
流星がそう言うと、メンバーがそろって、
「お休みなさーい。」
と言った。そしてバラバラと部屋へ移動し始める。そこで流星が、
「ああ瑠偉、俺の背中に薬塗ってくれるか?」
と、瑠偉に声を掛けた。瑠偉は、
「いいよ。」
と、すぐに返事をした。するとその瞬間、碧央がキッと振り返った。何も言わないが、目で物を言っているようだ。なぜ瑠偉を選ぶのだ、と。
「流星くん、俺が塗るよ。」
碧央がそう言った。
「え……ああ、そうか。悪いな。」
流星がそう言うと、
「あれ、瑠偉だと悪くないの?」
碧央が意地悪く言う。
「いや、そういうわけじゃないけど。」
流星が答える。3人の間に変な空気が流れている所へ、光輝がやって来て言った。
「碧央、瑠偉、僕がやるからいいよ。」
3人は光輝を見た。
「僕を助けて怪我したんだから、当然でしょ?」
光輝がそう言うと、
「そうだな、光輝が世話をするのは当然だ。じゃあ、頼んだぞ。」
碧央はそう言って光輝の肩をポンと叩くと、瑠偉の腕を掴んで去って行った。
「えっと、じゃあ、頼むよ。」
流星が光輝に行った。
「うん。」
光輝は無表情で頷いた。
「ムーン、今のとこ、君だけ離れすぎだよ。」
「はい、すみません。」
「ムーン、まだ離れすぎだ。」
「すみません。」
そこで、光輝が、
「流星くん、このターンの時、踏み出す一歩が大きいんだよ。そこに気を付ければ大丈夫だよ。」
と、横からアドバイスした。
「うん、分かった。」
それで、問題は解決した。その後、一度休憩に入った時に篤が光輝に歩み寄った。
「光輝、お前はプロだな。」
「え?何が?」
「いろいろあっても、ちゃんと流星にアドバイスしてさ。仕事とプライベートは分けるって、かっこいいじゃん。」
篤がそう言って、光輝の頭を撫でた。
「まあね。っていうか、いろいろって何だよ。何もないよ。」
「そうかあ?」
篤は笑って去って行った。光輝は、今篤に撫でられた頭を自分でちょっと触った。
「……キュンとしたか?……。」
そして、首を傾げた。
いよいよコンサートが始まった。たくさんのフェローたちが会場を埋め尽くしている。数曲歌った後、ステージの真ん中でMCをした。
「フェロー!」
涼が叫ぶと、
「キャー!!」
と、客席を埋めるフェローの歓声が響いた。
「ハロー!」
と、碧央が言い、
「I’m coming!(帰って来たよー)」
と、篤が言うと、
「オ・カ・エ・リー!」
と、会場のフェローから一斉に返事があった。
「わーあ、感激だね!日本語だ!」
それを聞いて瑠偉が言った。
「サンキュー、フェロー!」
光輝も叫んだ。次は流星が話す。
「Thank you fellow! We are coming. We have been ~ %&#$。」
つまり、流星は英語でペラペラとしゃべった。
「ワー!」
そして、再び音楽が流れ、STEが歌を歌い始めた。
コンサートも終盤にさしかかり、ステージからそれぞれ2、3人ずつに分かれてアリーナ席の間の通路へ入り、そこでダンスをした。光輝がダンスをしていると、隣にあった照明器具がバチンと音を立て、火花を散らした。光輝はそれに気づいていなかった。光輝のすぐ後ろにいた流星は、
「光輝、危ない!」
と言って、光輝に覆いかぶさった。2人が倒れた所へ、照明器具が倒れて来た。
「うわぁっ。」
流星が悲鳴を上げた。近くの客席からも悲鳴が上がる。
「流星くん!?」
光輝が叫んだ。スタッフが駆けつけてきて、照明器具をどかした。すると、流星の衣装の背中に、黒く焼け焦げた跡が付いていた。
「大変だよ!早く冷やさなきゃ!」
光輝が言うと、
「大丈夫だ。ここで引っ込んだらフェローが心配するだろ。あと2曲で終わりだから。」
と、流星が言った。
「でも!」
光輝が食い下がるも、
「平気だよ。ほら。」
流星はそう言って飛び跳ねて見せた。そうして、最後までコンサートをやり遂げ、みな楽屋へ戻った。
「流星!大丈夫か?怪我は?」
舞台袖にいた内海が、やっと引っ込んできた流星に飛びついた。そして、黒く焼け焦げた跡のあるジャケットを脱がせた。すると、下に着ていたシャツも、焦げていた。
「これ、まさか皮膚にくっついてるんじゃないだろうね。」
内海の言う通りだった。服を脱ぐことが出来ず、流星はそのまま病院へ行ったのだった。
STEメンバーとスタッフは、会場近くのホテルに泊まる事になっていた。そこへ病院から内海と流星が戻って来た。
「流星くん!大丈夫?」
瑠偉が真っ先に声を掛けた。
「ああ、何ともないよ。」
流星が微笑して答える。
「何ともなくはないぞ。これじゃ、あまり激しく踊れないんじゃないかな。」
しかし、内海がすかさずそう言った。
「俺のダンスなんて、どのみち大した事ないからさ、問題ないよ。これが光輝だったら大変だったよ。フェローたちは光輝のダンスを楽しみにしているんだからさ。」
流星がそう言うと、
「自虐的だなあ、流星。でも、俺からも礼を言うよ。光輝を守ってくれてありがとな。」
篤がそう言った。すると、
「お前に礼を言われる筋合いはないぞ。」
ツンとして流星はそう言ってから、自分でぷっと噴き出した。みんなで何となく笑う。
「じゃあ、夕食にしよう。ああそうだ、これ。」
内海は持っていた袋を流星に渡した。
「入浴後にこの薬を塗って、ラップした上から包帯を巻くんだぞ。と言っても、自分で薬は塗れないな。必要な時に声を掛けなさい。」
内海がそう言った。
「はい。でも、誰か近くにいるメンバーにやってもらうので、大丈夫です。」
流星はそう言って、薬を受け取った。
食事を終え、みんなで何となくしゃべったり、ゲームしたりして過ごし、明日の打合せをして解散という事になった。もっと前に自分の部屋へ行くメンバーがいても良さそうなものだが、寝るギリギリまで7人で一緒にいるのがSTEである。
「よし、じゃあ解散。お休みー。」
流星がそう言うと、メンバーがそろって、
「お休みなさーい。」
と言った。そしてバラバラと部屋へ移動し始める。そこで流星が、
「ああ瑠偉、俺の背中に薬塗ってくれるか?」
と、瑠偉に声を掛けた。瑠偉は、
「いいよ。」
と、すぐに返事をした。するとその瞬間、碧央がキッと振り返った。何も言わないが、目で物を言っているようだ。なぜ瑠偉を選ぶのだ、と。
「流星くん、俺が塗るよ。」
碧央がそう言った。
「え……ああ、そうか。悪いな。」
流星がそう言うと、
「あれ、瑠偉だと悪くないの?」
碧央が意地悪く言う。
「いや、そういうわけじゃないけど。」
流星が答える。3人の間に変な空気が流れている所へ、光輝がやって来て言った。
「碧央、瑠偉、僕がやるからいいよ。」
3人は光輝を見た。
「僕を助けて怪我したんだから、当然でしょ?」
光輝がそう言うと、
「そうだな、光輝が世話をするのは当然だ。じゃあ、頼んだぞ。」
碧央はそう言って光輝の肩をポンと叩くと、瑠偉の腕を掴んで去って行った。
「えっと、じゃあ、頼むよ。」
流星が光輝に行った。
「うん。」
光輝は無表情で頷いた。