アルバム作成が進み、後はレコーディングのみとなった頃、社長の植木がSTEのメンバーを集めた。
「そろそろ、ボランティア活動したくならないか?」
植木がメンバーにそう言うと、
「おお!ボランティア、ずいぶんしてないですよね。やりましょうよ!」
涼がすぐに賛成した。
「確かに、最近はコンサートで忙しかったからな。」
大樹もそう言った。
「チャリティーコンサートも十分社会貢献なんだが、そろそろ原点に立ち返り、またボランティア活動をしてみるのもいいかなと思ってな。ただ、世界的アイドルとなった君たちが、どんなボランティア活動をすべきなのか、分からないんだ。」
植木が言った。
「原点に立ち返るって事は、またゴミ拾いとか、落書き消しとか……。」
瑠偉がそう言うと、光輝が、
「やりたい、やりたい!」
と賛成した。だが植木は、
「いやー、今それは無理だ。君たちがそんな事をしたら、人が殺到して相当地元に迷惑をかけてしまう。」
と言った。
「そっかー。残念。」
光輝が言った。
「それなら、人が来なくて困るところに俺たちが行けば……。」
篤がそう言いかけると、
「それだ。」
碧央が篤を指さし、メンバーも一斉に篤を見た。流星が、
「人手不足で困っているところへ、俺たちが行くってことか?」
と言うと、他のメンバーがうんうんと頷く。すると植木がこんな事を言った。
「人手不足か……。タンザニアでボランティアを統括している友人がいるんだが、なかなか人が集まらないと嘆いていたな。そういう所へ行って、ボランティアをしている人たちを励ましたらどうだろうか。」
すると瑠偉が、
「ボランティアを励ますのも、ボランティアなんですか?俺たちも、一緒にボランティア活動をした方がいいのでは?」
と言った。
「まあ、それはそうなんだが……それほどボランティア活動にばかりに時間を費やすのもなあ。」
と、植木が言うと、碧央が、
「何かを急いでやる必要はないと思いますよ。タンザニアにしばらくいて、それで人が集まって来るのであれば、いいわけでしょう?」
と言った。
「うーん。だが、世界中でお前たちが来るのを待っているファンがいるじゃないか。テレビに出て欲しいと思っているファンもたくさんいるわけだし。」
植木はなおも難色を示す。すると大樹がこんな事を言った。
「それなら、タンザニアからでも配信できますよ。僕思うんですけど、コンサートをやっても、結局一部の人しかチケットを手に入れる事は出来ないわけで、ほとんどのフェローは僕たちをテレビやネット上でしか見る事ができない。それならば、僕たちが世界のどこにいても、多くのフェローにとっては同じ事じゃないのかな。」
すると篤が、
「大樹、いい事言うなあ。」
と感心した。
「なるほど。本当に、お前たちは普通のアイドルじゃないなあ。」
植木がうなる。すると碧央が、
「社長が、普通じゃないアイドルを作ったんじゃないですか。」
と言った。それを受けて植木が言った。
「そうだったな。……そうだよ。俺たちは、仕事をたくさんして儲けようなんて、これっぽっちも思ってはいないんだった。地球が今よりもっと良くなるように、悪くなるのを防ぐように、活動していくんだった。よし、タンザニア行きを検討しよう。」
そうしてSTEの、そう、Save The Earthの活動は、新たな局面を迎えたのである。
多くのスタッフを東京に残し、STEと植木、内海と数人のスタッフで、アフリカ大陸のタンザニアへ渡った。環境保全キャンププログラムに参加し、植樹などを行うのだ。
当然、STEがタンザニアへ向かう事は大ニュースになり、日本を出発する時には、空港が大混雑するくらいのフェローのお見送りがあった。だが、タンザニアに到着した時には、そうお迎えは多くない。そして、追いかけて来るフェローも、流石に少ないのであった。
キャンプへの道は楽ではなく、キャンプに参加して連れて行ってもらわなければ、独りで行く事などできない。本気でボランティア活動をしようという人でなければ、簡単にSTEを追いかけて来ることはできないのであった。
それでも、今までよりもキャンプに参加する人は確実に増えた。そういったボランティア活動が注目を浴びたという事もあるし、本当にSTEが好きで、会えるのを期待してやってきた人も、世界中から集まった。STEは植樹活動に時々参加をし、更にはタンザニアの子供たちと一緒にダンスをするなど、多岐に渡るボランティア活動をした。
住むところは、他のボランティアの人たちと同じでは、セキュリティーの面から問題があるとして、STEだけが住む家を用意してもらった。そこから自分たちで動画配信もし、新しい曲作りもした。もちろん歌やダンスのレッスンも。時にはテレビ出演にも応じたし、現地のマスメディアの取材にも応じた。
ある日の配信では。
「みなさーん!こんばんは、STEです。今、タンザニアでは夜ですが、東アジアでは朝ですね?ヨーロッパではここと同じかな?」
流星が言うと、光輝が、
「僕たちは、今日はタンザニアの子供たちと一緒に、ダンスをしましたよー!うん、僕たちだいぶ日に焼けましたね。」
と言った。一同笑う。
「アハハハハ。」
「何しろ、日差しが強いですからね。」
涼が言い、篤が、
「顔だけ白いのは嫌なので、メイクもしない事にしましたー!」
と言うと、一同手を叩いて笑う。
「篤くん、もう若くないんだから、日に焼けるとシミになりますよ。」
瑠偉がそう言い、
「なにー!俺はまだ若いぞー。」
と、篤が返す。
「いやいや、僕だって若くないです。二十歳を過ぎたら日焼けには気を付けないと。」
瑠偉が言うと、大樹が、
「瑠偉は気を付けているのか?」
と言い、瑠偉は、
「帽子をかぶっています。」
と答える。大樹は、
「あー、それはみんなかぶっていますね。日焼け防止というより、日射病予防でね。」
と言った。涼も、
「そうそう、帽子は必須ですね。それでも顔が赤くなりますよ。」
と言い、一同、
「だよねー。」
「そうそう。」
と言い合う。
このように、自由に動画配信をした。
「そろそろ、ボランティア活動したくならないか?」
植木がメンバーにそう言うと、
「おお!ボランティア、ずいぶんしてないですよね。やりましょうよ!」
涼がすぐに賛成した。
「確かに、最近はコンサートで忙しかったからな。」
大樹もそう言った。
「チャリティーコンサートも十分社会貢献なんだが、そろそろ原点に立ち返り、またボランティア活動をしてみるのもいいかなと思ってな。ただ、世界的アイドルとなった君たちが、どんなボランティア活動をすべきなのか、分からないんだ。」
植木が言った。
「原点に立ち返るって事は、またゴミ拾いとか、落書き消しとか……。」
瑠偉がそう言うと、光輝が、
「やりたい、やりたい!」
と賛成した。だが植木は、
「いやー、今それは無理だ。君たちがそんな事をしたら、人が殺到して相当地元に迷惑をかけてしまう。」
と言った。
「そっかー。残念。」
光輝が言った。
「それなら、人が来なくて困るところに俺たちが行けば……。」
篤がそう言いかけると、
「それだ。」
碧央が篤を指さし、メンバーも一斉に篤を見た。流星が、
「人手不足で困っているところへ、俺たちが行くってことか?」
と言うと、他のメンバーがうんうんと頷く。すると植木がこんな事を言った。
「人手不足か……。タンザニアでボランティアを統括している友人がいるんだが、なかなか人が集まらないと嘆いていたな。そういう所へ行って、ボランティアをしている人たちを励ましたらどうだろうか。」
すると瑠偉が、
「ボランティアを励ますのも、ボランティアなんですか?俺たちも、一緒にボランティア活動をした方がいいのでは?」
と言った。
「まあ、それはそうなんだが……それほどボランティア活動にばかりに時間を費やすのもなあ。」
と、植木が言うと、碧央が、
「何かを急いでやる必要はないと思いますよ。タンザニアにしばらくいて、それで人が集まって来るのであれば、いいわけでしょう?」
と言った。
「うーん。だが、世界中でお前たちが来るのを待っているファンがいるじゃないか。テレビに出て欲しいと思っているファンもたくさんいるわけだし。」
植木はなおも難色を示す。すると大樹がこんな事を言った。
「それなら、タンザニアからでも配信できますよ。僕思うんですけど、コンサートをやっても、結局一部の人しかチケットを手に入れる事は出来ないわけで、ほとんどのフェローは僕たちをテレビやネット上でしか見る事ができない。それならば、僕たちが世界のどこにいても、多くのフェローにとっては同じ事じゃないのかな。」
すると篤が、
「大樹、いい事言うなあ。」
と感心した。
「なるほど。本当に、お前たちは普通のアイドルじゃないなあ。」
植木がうなる。すると碧央が、
「社長が、普通じゃないアイドルを作ったんじゃないですか。」
と言った。それを受けて植木が言った。
「そうだったな。……そうだよ。俺たちは、仕事をたくさんして儲けようなんて、これっぽっちも思ってはいないんだった。地球が今よりもっと良くなるように、悪くなるのを防ぐように、活動していくんだった。よし、タンザニア行きを検討しよう。」
そうしてSTEの、そう、Save The Earthの活動は、新たな局面を迎えたのである。
多くのスタッフを東京に残し、STEと植木、内海と数人のスタッフで、アフリカ大陸のタンザニアへ渡った。環境保全キャンププログラムに参加し、植樹などを行うのだ。
当然、STEがタンザニアへ向かう事は大ニュースになり、日本を出発する時には、空港が大混雑するくらいのフェローのお見送りがあった。だが、タンザニアに到着した時には、そうお迎えは多くない。そして、追いかけて来るフェローも、流石に少ないのであった。
キャンプへの道は楽ではなく、キャンプに参加して連れて行ってもらわなければ、独りで行く事などできない。本気でボランティア活動をしようという人でなければ、簡単にSTEを追いかけて来ることはできないのであった。
それでも、今までよりもキャンプに参加する人は確実に増えた。そういったボランティア活動が注目を浴びたという事もあるし、本当にSTEが好きで、会えるのを期待してやってきた人も、世界中から集まった。STEは植樹活動に時々参加をし、更にはタンザニアの子供たちと一緒にダンスをするなど、多岐に渡るボランティア活動をした。
住むところは、他のボランティアの人たちと同じでは、セキュリティーの面から問題があるとして、STEだけが住む家を用意してもらった。そこから自分たちで動画配信もし、新しい曲作りもした。もちろん歌やダンスのレッスンも。時にはテレビ出演にも応じたし、現地のマスメディアの取材にも応じた。
ある日の配信では。
「みなさーん!こんばんは、STEです。今、タンザニアでは夜ですが、東アジアでは朝ですね?ヨーロッパではここと同じかな?」
流星が言うと、光輝が、
「僕たちは、今日はタンザニアの子供たちと一緒に、ダンスをしましたよー!うん、僕たちだいぶ日に焼けましたね。」
と言った。一同笑う。
「アハハハハ。」
「何しろ、日差しが強いですからね。」
涼が言い、篤が、
「顔だけ白いのは嫌なので、メイクもしない事にしましたー!」
と言うと、一同手を叩いて笑う。
「篤くん、もう若くないんだから、日に焼けるとシミになりますよ。」
瑠偉がそう言い、
「なにー!俺はまだ若いぞー。」
と、篤が返す。
「いやいや、僕だって若くないです。二十歳を過ぎたら日焼けには気を付けないと。」
瑠偉が言うと、大樹が、
「瑠偉は気を付けているのか?」
と言い、瑠偉は、
「帽子をかぶっています。」
と答える。大樹は、
「あー、それはみんなかぶっていますね。日焼け防止というより、日射病予防でね。」
と言った。涼も、
「そうそう、帽子は必須ですね。それでも顔が赤くなりますよ。」
と言い、一同、
「だよねー。」
「そうそう。」
と言い合う。
このように、自由に動画配信をした。