広い部屋に入ると、大勢の軍人たちが椅子に座っていた。ステージとなる空間が出来ており、オーディオもあった。7人は中央へ並び、曲がかかるのを待った。
曲が始まり、踊り出す。世界中で評価されているダンスパフォーマンス。軍人たちはSTEを疎ましく思っているはずだが、本物のSTEのパフォーマンスを目の当たりにして、息をのんでいる。振り付けの中で、6人が扉の外へハケた時、端に座っていた軍人がハッとして廊下に出ようとしたが、またすぐに6人が戻ってきて踊り出したので、そのまま座った。そして、曲が終わると、拍手喝采、指笛ピューピューだった。
「ブラボー!」
「もう1曲!もう1曲!」
一番前の真ん中に座っていた司令官が目配せし、もう1曲やってもいいという事になった。流星が曲名を言い、Shoutが流れた。STEのデビュー曲である。そうして、流星が1人になる場面がやってきた。今度は、誰も廊下を覗こうとはしなかった。
STEのメンバーたちは、走った。恐らく入って来たと思われる方角へ、廊下を走っていった。すると、入って来た搬入口にたどり着いた。ただ、あの箱(元エレベーター)があって、天井は開いていても、そのまま外へは出られなかった。
「どうする?」
碧央が言った。
「飛び越えるしかないな。」
瑠偉はそう言うと、少し下がって助走を取り、箱の上へ飛び乗った。
「わぉ、すげえ。さすが瑠偉。」
涼が感嘆の声を上げた。
瑠偉は、箱の上から屈んで手を伸ばした。来い、と手招きする。まず、碧央が走って行って瑠偉の手を取り、もう片方の手で箱の天井にしがみつき、瑠偉に引っ張ってもらって、何とか箱の上へ上がった。そして、向こう側へ飛び下りる。さあ、もう1人、と瑠偉が手を伸ばした時、流星が走って来た後に軍人たちも走ってやってきた。STEはみな足が速いが、さすがに全員がこの箱を乗り越える時間はなかった。
「瑠偉、行け!何とか、助けを呼んでくれ!」
走りながら流星が叫ぶ。すると軍人が、箱の上に乗っている瑠偉に銃を向けた。そして、パン!と銃声が。みながハッと息をのんだ。だが、瑠偉は無事に外へ飛び下り、碧央と一緒に走り去った。
瑠偉と碧央は逃げたが、残りの5人はまた檻の中へ連れ戻された。
「まったく、手間かけさせやがって。」
「あ、一番かわいい子に逃げられた。あのハンサムくんも。」
「勿体ないなあ、ただで逃がしちゃ。せっかくの上玉なのに。へへへ。」
軍人たちが言った。その何やら不穏な様子に、5人は顔を引きつらせた。
「よく見ると、可愛い顔してんじゃねえか。え?」
軍人の1人が、篤に顔を近づけた。そして、お尻をポンと触った。
「うわっ!」
篤は驚いて飛び上がった。
「本当だ、こっちも可愛いし。イヒヒヒ。」
「な、なんだよう。」
軍人に近寄られて、光輝は大樹の後ろに隠れた。そこへ、もう1人の軍人がやってきた。
「おい、ゴールドいるか?」
「は、はい?」
「お前か。司令官がお呼びだ。来い。」
「え?」
光輝が戸惑いの表情を見せた。
「ちょっと待て、どうしてゴールドだけ呼ばれるんだ?」
篤が言うと、
「司令官が、ゴールドのファンだそうだ。食事を一緒にと仰せだ。」
と、軍人が言った。
「え……どうしよう?」
光輝が不安そうに振り返る。軍人が光輝の腕を掴んだ。
「待て!俺も行く。」
流星が、さっと光輝の腕を掴んでそう言った。
「ダメだ。」
軍人がそう言ったが、
「俺と一緒じゃなきゃ、こいつを渡さない。」
流星は譲らない。
「どうする?」
その軍人は、最初からいた軍人に声を掛けた。
「ゴールドだけを連れて来いと言われたのか?」
声を掛けられた軍人が言った。
「いや、ゴールドを連れて来い、と言われただけだが。」
「なら、とにかく2人とも連れて行けばいいんじゃないか?」
「そうだな。よし、お前も来い。」
と言うわけで、流星と光輝が司令官の部屋に連れていかれたのだった。
「……なぜこいつもいる?」
司令官室に光輝たちが入ると、司令官が軍人にそう言った。
「申し訳ありません。こいつが、自分も一緒でないとゴールドを渡さないと言い張りまして。」
軍人が言い訳すると、司令官は、
「そうか。まあ仕方ない。離れた所に座らせろ。」
と言い、光輝を自分の前に座らせた。光輝は不安で一杯である。司令官と流星とを交互に見ながらソワソワしている。
「光輝、大丈夫だ。俺が絶対に手出しさせないから。」
流星が日本語で言った。
「う、うん。」
光輝は震えながら、何とか頷いた。
檻の中では、3人になってしまって不安な篤、涼、大樹であった。ましてや、ニヤニヤしながら篤を見る軍人もいる。
「はあ、なんなんだよ、これ。耐えられないよ。」
篤が嘆く。
「篤くんの事は、俺たちが守るから。」
大樹がそう言った。涼が、
「碧央と瑠偉はどうしてるかな?誰かに会えたかなぁ。」
と言うと、篤は、
「あいつらだけが頼りだな。」
と言った。
曲が始まり、踊り出す。世界中で評価されているダンスパフォーマンス。軍人たちはSTEを疎ましく思っているはずだが、本物のSTEのパフォーマンスを目の当たりにして、息をのんでいる。振り付けの中で、6人が扉の外へハケた時、端に座っていた軍人がハッとして廊下に出ようとしたが、またすぐに6人が戻ってきて踊り出したので、そのまま座った。そして、曲が終わると、拍手喝采、指笛ピューピューだった。
「ブラボー!」
「もう1曲!もう1曲!」
一番前の真ん中に座っていた司令官が目配せし、もう1曲やってもいいという事になった。流星が曲名を言い、Shoutが流れた。STEのデビュー曲である。そうして、流星が1人になる場面がやってきた。今度は、誰も廊下を覗こうとはしなかった。
STEのメンバーたちは、走った。恐らく入って来たと思われる方角へ、廊下を走っていった。すると、入って来た搬入口にたどり着いた。ただ、あの箱(元エレベーター)があって、天井は開いていても、そのまま外へは出られなかった。
「どうする?」
碧央が言った。
「飛び越えるしかないな。」
瑠偉はそう言うと、少し下がって助走を取り、箱の上へ飛び乗った。
「わぉ、すげえ。さすが瑠偉。」
涼が感嘆の声を上げた。
瑠偉は、箱の上から屈んで手を伸ばした。来い、と手招きする。まず、碧央が走って行って瑠偉の手を取り、もう片方の手で箱の天井にしがみつき、瑠偉に引っ張ってもらって、何とか箱の上へ上がった。そして、向こう側へ飛び下りる。さあ、もう1人、と瑠偉が手を伸ばした時、流星が走って来た後に軍人たちも走ってやってきた。STEはみな足が速いが、さすがに全員がこの箱を乗り越える時間はなかった。
「瑠偉、行け!何とか、助けを呼んでくれ!」
走りながら流星が叫ぶ。すると軍人が、箱の上に乗っている瑠偉に銃を向けた。そして、パン!と銃声が。みながハッと息をのんだ。だが、瑠偉は無事に外へ飛び下り、碧央と一緒に走り去った。
瑠偉と碧央は逃げたが、残りの5人はまた檻の中へ連れ戻された。
「まったく、手間かけさせやがって。」
「あ、一番かわいい子に逃げられた。あのハンサムくんも。」
「勿体ないなあ、ただで逃がしちゃ。せっかくの上玉なのに。へへへ。」
軍人たちが言った。その何やら不穏な様子に、5人は顔を引きつらせた。
「よく見ると、可愛い顔してんじゃねえか。え?」
軍人の1人が、篤に顔を近づけた。そして、お尻をポンと触った。
「うわっ!」
篤は驚いて飛び上がった。
「本当だ、こっちも可愛いし。イヒヒヒ。」
「な、なんだよう。」
軍人に近寄られて、光輝は大樹の後ろに隠れた。そこへ、もう1人の軍人がやってきた。
「おい、ゴールドいるか?」
「は、はい?」
「お前か。司令官がお呼びだ。来い。」
「え?」
光輝が戸惑いの表情を見せた。
「ちょっと待て、どうしてゴールドだけ呼ばれるんだ?」
篤が言うと、
「司令官が、ゴールドのファンだそうだ。食事を一緒にと仰せだ。」
と、軍人が言った。
「え……どうしよう?」
光輝が不安そうに振り返る。軍人が光輝の腕を掴んだ。
「待て!俺も行く。」
流星が、さっと光輝の腕を掴んでそう言った。
「ダメだ。」
軍人がそう言ったが、
「俺と一緒じゃなきゃ、こいつを渡さない。」
流星は譲らない。
「どうする?」
その軍人は、最初からいた軍人に声を掛けた。
「ゴールドだけを連れて来いと言われたのか?」
声を掛けられた軍人が言った。
「いや、ゴールドを連れて来い、と言われただけだが。」
「なら、とにかく2人とも連れて行けばいいんじゃないか?」
「そうだな。よし、お前も来い。」
と言うわけで、流星と光輝が司令官の部屋に連れていかれたのだった。
「……なぜこいつもいる?」
司令官室に光輝たちが入ると、司令官が軍人にそう言った。
「申し訳ありません。こいつが、自分も一緒でないとゴールドを渡さないと言い張りまして。」
軍人が言い訳すると、司令官は、
「そうか。まあ仕方ない。離れた所に座らせろ。」
と言い、光輝を自分の前に座らせた。光輝は不安で一杯である。司令官と流星とを交互に見ながらソワソワしている。
「光輝、大丈夫だ。俺が絶対に手出しさせないから。」
流星が日本語で言った。
「う、うん。」
光輝は震えながら、何とか頷いた。
檻の中では、3人になってしまって不安な篤、涼、大樹であった。ましてや、ニヤニヤしながら篤を見る軍人もいる。
「はあ、なんなんだよ、これ。耐えられないよ。」
篤が嘆く。
「篤くんの事は、俺たちが守るから。」
大樹がそう言った。涼が、
「碧央と瑠偉はどうしてるかな?誰かに会えたかなぁ。」
と言うと、篤は、
「あいつらだけが頼りだな。」
と言った。