夕食が終わって片付けを済ませた新が「見てもいい?」と許可を求めたので、「どうぞ」と考子はなんの感情も込めずに返答した。
 断る理由はなかった。
 新は〈どっちにしようかな〉というように2枚を見比べ、「これにしよう」と呟いたあと、そのDVDをプレーヤーにセットして、再生ボタンを押した。
『安産のためのエクササイズ』が始まった。

「出産に備えて筋力をつけておきましょう」という男性の声が聞こえた。
 新と同年代のトレーナーだった。
 そして、モデルの紹介をした。
 彼の妻だという。
「妊娠中の妻と一緒に安産のためのエクササイズをしますから、皆さんもご一緒にどうぞ。できればご主人も一緒にやってみてください」

 そうだなと思った新が〈一緒にやろうよ〉という合図を送ると、〈いいわよ〉というふうに考子が頷いた。