◇ ◇ ◇

「ふう……」

 今、私はあの無人島に戻って温泉を満喫している。
 あれからどうなったのかを簡潔に振り返ってみると、まず、決闘に負けた東宮・実亨親王に対しては特に処罰も何にもくだらなかった。けど、実亨親王は父親である帝へ、東宮の座から降りたい。と言ったそうな。
 で、結局東宮の座を降りた実亨親王は勢い任せに出家してしまったみたい。

「はあ……気持ち良い……」

 朝風呂最高! 身体がポカポカしてずっと浸かりたくなっちゃう!

「明子、浸かり過ぎは身体に毒だぞ」
「そうですね、そろそろ出ますね」

 珠丸は外で見張ってくれている。
 ああ、そうだ。あやはは元気にあやかし退治に明け暮れているみたい。取り巻きA達も元気に過ごしていると良いな。
 両親は実亨親王から今回の件について謝罪を受けたと聞いているみたい。私がまた島に住むって言った時は驚いていたな。

「お待たせしました!」
「そんなに待ってないぞ。じゃあ、帰るか」
「はい、珠丸」

 浴衣風の着物に着替えた後は、珠丸と手をつないで、屋敷へと戻る。
 屋敷の縁側に座った時、彼はそっと私の左肩を抱き寄せた。