実亨親王が持っていた弓で珠丸を射かけようとする。が、彼はすかさず実亨親王に近づき蹴りを入れる。大鎧を着用しているとはいえまともに食らった彼はバランスを崩しかけるが何とか踏みとどまった。
 その後も珠丸は近距離で戦おうとする為、実亨親王は弓矢を地面に投げ捨て、刀に持ち変えた。

「ぐっ!」

 珠丸は腕を顔の前でクロスさせると、腕から水を召喚させた。水流がうまい具合に実亨親王の目をくらませる。

「見えないっ……!」
「あやかしを舐めんなよ!」

 またも蹴りを今度は顔面に食らわせる珠丸。え、珠丸ってこんなに戦い慣れしていたのか……。それと比べて実亨親王は遠距離専用というか、近距離での戦いには不慣れさを感じさせる。

「そらそら!」

 それに珠丸の方が身軽という事だけあって、動きに俊敏さがある。
 正直……勝敗は決まっているも同然な状態だ。

「ぐっ……」

 刀で応戦していた実亨親王が、ついに地面に倒れてしまった。珠丸は足で彼の首を踏みつける。

「そこまでのようだな、東宮様」

 彼の声と共に、勝負あり! という声が高らかに響き渡った。