あやはに例の品を渡すと、あやははほっと息を吐きながら安心した表情を見せてくれた。

「……しかし一の姫様。これでめでたしめでたしにはならない予感が致しますわ」

 ここは安心できないと言う具合の顔つきを見せている取り巻きAの意見を聞いてみようか。私の右横では珠丸があちこち視線を動かしている。ここ広いから確かに気になっちゃうよね。

「だってあやはは東宮様から捕縛されていたではございませんか」
「そうですよね……どうしましょうか」
「明子。俺にも詳しい話を聞かせてくれねえか?」
「わあっ! ……そうですよね。びっくりしちゃってごめんなさい。ちょっと説明します」

 珠丸に事の流れを簡潔に説明する。すると彼は腕組みをしたまま、いい考えがあるんだが。と切り出した。

「明子、誰かにこの事を伝えたらどうなんだ?」
「お(かみ)にですか?」
「まあ、そういう事にはなるかな」

 お上……帝にチクるって事ね。でもゲームではお上は実亨親王にはだだ甘だから信じてもらえるかな……。という事をゲームの事は隠して珠丸に伝える。

「じゃあ、俺がそいつを打ちのめすよ。明子に二度と手を出すなってな」

 にやりと笑う珠丸。多分勝算があると思ってるのは理解できた。でもそんな危険な目にあわしたくはない。