「は、はい?」
「島流しという修行を得て、御仏の如き御心を手に入れられたのでございますわよ!?」

 彼女の剣幕にあやはは、明らかに圧倒されている。
 でも、私が明子に転生したのは島流し前だから、取り巻きAが言ってる事は違うんだけど……まあ、いっか。

「それは申し訳ありませんでした!」

 あやはが思いっきり土下座したので、私は彼女をなんとかなだめる。
 ていうか今はこんな茶番している暇なんてない。

「よし。ここから出ましょう」
「言われなくてもそのつもりです。ですが、どうやって」
「とりあえず、ついてきてください! えっと、狼の式神を!」

 取り巻きAが狼の式神を召喚する。私も見様見真似でやってみたら召喚出来た。
 あとは、あやはを2人がかりで抱え上げて、出入り口めがけて突き走る。

「あっ、おい! あれは!」

 やばい、兵士に見つかった! だけど兵士第に構ってはいられない。
 狼の式神に乗り、境内から出入り口まで到着した後は私の実家である左大臣家の屋敷へひた走る。