という訳で私は十二単を着た後は髪をすく間もなく牛車に放り込まれるようにして乗せられ、港まで移動を開始した。左大臣である明子の父親が泣きながらいつか帰れるようにするから! と言って私の出立を見送ってくれたのはいいけど……。
ま、帰れるわけ無いよね。
「はあ――あ――しぃまながしかあぁ――」
牛車の中でだらしなく座っている私。車じゃないから圧倒的に遅いのかと思いきや、牛車を引いているのは牛のようなあやかしだった。そのおかげか車と同じくらいの速さで移動できている。
よし。この間にこの世界の事を整理しておこうか。
「私は島流しにあった。明子は恋敵で主人公であるあやはをよく思ってなくて、嫌がらせしていた……」
紅刀の姫君の世界は平安時代だけどただの平安時代じゃない。あやかしと人が共生する世界だ。
その中でも人へ害をなす悪しきあやかしを紅刀で退治するのが主人公・あやは。見た目は黒髪ロングに前髪ぱっつん・赤い瞳という可愛らしいキャラで、戦う時は萌えキャラ風な鎧を身に纏って戦う。
「うわっ」
がたっと牛車が揺れたのでなんとか柱に掴まってしのぐ。
対する立野明子はさっきも回想した通り、左大臣の長女で陰陽道を習得している人物。黒髪にワンレンな前髪と黄色い瞳をした人物で実亨親王に嫁ぎたいと思っていた。そしてあやかしを使って恋敵であるあやはへ嫌がらせをしていたのである。
「結構エグい嫌がらせしていたよね……歌会では取り巻きにあやはの髪を踏んづけるよう指示していたし」
主人公のあやはは、悪しきあやかしを斬る刀・紅刀の使い手である一方、中級貴族の出身という事もあって明子ら位の高い悪役令嬢達からはよく紅刀や鎧を隠されたり、彼女があやかしを斬って世を救うという一連の行動は彼女の自作自演だと言う噂を流されたり、使い魔なあやかしによって家を汚されたり妨害をむけられている……という話。
「ほんと、怖いよねえ……」
いつの間にか雨が降って来たようだ。本降りになった所で牛車が港で止まると、牛車ごと大きな船へと乗せられていく。
ま、帰れるわけ無いよね。
「はあ――あ――しぃまながしかあぁ――」
牛車の中でだらしなく座っている私。車じゃないから圧倒的に遅いのかと思いきや、牛車を引いているのは牛のようなあやかしだった。そのおかげか車と同じくらいの速さで移動できている。
よし。この間にこの世界の事を整理しておこうか。
「私は島流しにあった。明子は恋敵で主人公であるあやはをよく思ってなくて、嫌がらせしていた……」
紅刀の姫君の世界は平安時代だけどただの平安時代じゃない。あやかしと人が共生する世界だ。
その中でも人へ害をなす悪しきあやかしを紅刀で退治するのが主人公・あやは。見た目は黒髪ロングに前髪ぱっつん・赤い瞳という可愛らしいキャラで、戦う時は萌えキャラ風な鎧を身に纏って戦う。
「うわっ」
がたっと牛車が揺れたのでなんとか柱に掴まってしのぐ。
対する立野明子はさっきも回想した通り、左大臣の長女で陰陽道を習得している人物。黒髪にワンレンな前髪と黄色い瞳をした人物で実亨親王に嫁ぎたいと思っていた。そしてあやかしを使って恋敵であるあやはへ嫌がらせをしていたのである。
「結構エグい嫌がらせしていたよね……歌会では取り巻きにあやはの髪を踏んづけるよう指示していたし」
主人公のあやはは、悪しきあやかしを斬る刀・紅刀の使い手である一方、中級貴族の出身という事もあって明子ら位の高い悪役令嬢達からはよく紅刀や鎧を隠されたり、彼女があやかしを斬って世を救うという一連の行動は彼女の自作自演だと言う噂を流されたり、使い魔なあやかしによって家を汚されたり妨害をむけられている……という話。
「ほんと、怖いよねえ……」
いつの間にか雨が降って来たようだ。本降りになった所で牛車が港で止まると、牛車ごと大きな船へと乗せられていく。