明子の事ばかり考えるなんておかしい。だって明子はあやはに対して嫌がらせをし続けてきた悪しき姫ではないか。それなのにどうして彼女の事ばかり考えてしまうのだ……。などと実亨親王は胸の中でぐるぐる考えを巡らせ続ける。
「東宮様、文を預かっております」
そんな彼の元へ使いの者が静かに歩み寄ると、実亨親王へ折りたたまれた文を渡す。文を書いたのは実亨親王の従者のひとり。ぱさっと広げると、そこにはある文言が記されていた。
『左大臣の一の姫様は、島流しにされた島にて、海坊主のあやかしと共に仲良く暮らしているそうです』
という内容に実亨親王の両手が震え始めた。
「な、なんだと……」
「東宮様? いかがなされましたか?」
(俺以外の男と仲良く暮らしているとは……何だこの感情は。しかし許せぬ)
「……左大臣の一の姫を都に戻す」
彼の突然の決定に、使いの者も驚きを隠せない。
「なっ……島流しをした者を都に呼び戻すなど、聞いた事がありませんぞ?! ましてや帝がそれをお許しになる訳など……」
「……言い訳は幾らでも言えるし作れるさ」
(あやはを利用しよう。明子を手に入れる為なら……これは仕方のない事だ)
「東宮様、文を預かっております」
そんな彼の元へ使いの者が静かに歩み寄ると、実亨親王へ折りたたまれた文を渡す。文を書いたのは実亨親王の従者のひとり。ぱさっと広げると、そこにはある文言が記されていた。
『左大臣の一の姫様は、島流しにされた島にて、海坊主のあやかしと共に仲良く暮らしているそうです』
という内容に実亨親王の両手が震え始めた。
「な、なんだと……」
「東宮様? いかがなされましたか?」
(俺以外の男と仲良く暮らしているとは……何だこの感情は。しかし許せぬ)
「……左大臣の一の姫を都に戻す」
彼の突然の決定に、使いの者も驚きを隠せない。
「なっ……島流しをした者を都に呼び戻すなど、聞いた事がありませんぞ?! ましてや帝がそれをお許しになる訳など……」
「……言い訳は幾らでも言えるし作れるさ」
(あやはを利用しよう。明子を手に入れる為なら……これは仕方のない事だ)