ようやく今日の授業が終わった。5時間目の体育の後に6時間目が英語って絶対寝ちゃうよね。先生の小さな声が私にとっては子守歌みたいに聞こえてさ。
 オキニのピンクのリュックにスマホとかあれこれ詰めたら、友人と一緒に校舎を後にした。今日はどこにいこっかなあ。プリ撮ってカフェで宿題でもしつつ、のんびり時間をつぶそう。

「ねえ、プリ撮りに行く前に新作のフラペチーノ買いに行かない――?」

 友人に語り掛けた刹那、身体に言葉では言い表せないくらいの衝撃が走った。
 声にならない悲鳴と、硬いコンクリートに身体が打ち付けられた感覚を覚えた後は、視界がゆっくりとおぼろげになっていく。どうやら私はトラックに轢かれたみたい。
 視界が真っ暗になって、私の名前を呼ぶ友人達の声が聞こえなくなった後。もう一度目を覚ますと目に飛び込んできたのはおおよそ現代ではない景色だった。

「……ここは?」

 ぱっと見天井含め内装はお寺とか、山奥にポツンとあつ母方の祖父母の実家というか……そういう和風建築みたいな感じ。私の身体が横たわっているのも、白いお布団である事はすぐにわかった。お布団の割には枕が硬くて高い気はするけども。

「姫様! お目覚めになりましたか!」