【太陽新聞デジタル 2019年5月7日配信】【高本莉奈(2019年度卒業生)へのインタビュー】のページにあるとおり、████商業高等学校では、私が高校三年生のときに鹿倉花恵という女子生徒が、校舎の十階から飛び降り、死亡しています。また、その昨年、一昨年にも在学生による自死が続いていましたが、高校敷地内での発生は鹿倉花恵さんが初めてでした。
████商業高等学校は、下町風情が残る███の外れにある、地下二階、地上十階建ての高層校舎です。とは言っても、地下二階は物置として使用されており、八階から十階にかけては閉鎖されていました。上層階が閉鎖されたのは随分と前のようで、私が入学したときにはすでに立ち入りが禁じられていました。
私の友人である高本莉奈も話していたとおり、鹿倉花恵さんは真面目で礼儀正しい、模範と言われるような生徒でした。明大への進学の話も、私もちらっと話を聞いたことがあるので、本当だったんだと思います。
そんな優等生が、立入禁止の場所へズカズカと入っていくでしょうか?
たとえ心が壊れてしまっていたとしても、彼女のような真面目な生徒が、わざわざ立ち入り禁止の場所から飛び降りるとは思えないのです。あまりこういったことは書きたくないのですが、七階から飛び降りてもよかったのではないでしょうか。わざわざ十階に上がらなくても、間違いなく致命的なダメージは与えられます。それに、二〇一一年に東日本大震災が起きた際、校内に設備されているエレベーター内に生徒が一人閉じ込められる事故が発生してから、生徒のみでのエレベーター使用は固く禁じられていました。十階まで階段で上るのは、かなりハードだったと思います。
鹿倉花恵さんが発見されたのは午前九時頃となっていましたが、実際に飛び降りたとされるのはその一時間前の午前八時頃だと言われています。発見が遅れたのは、職員の出勤時間よりも前だったことや、発見されたのが校舎裏と目立たない場所だったことが原因にあったそうです。七階は商業科目で使う、簿記室や情報処理室、マーケティング実習室などで構成されており、その時間に七階の廊下を歩く者はいません。人の目を気にしていたとしても、七階からの飛び降りは合理的と言えます。
どうして、彼女は十階から飛び降りたのか。そもそも、最後の瞬間に学校を選んだのはなぜなのか。
【太陽新聞デジタル 2019年5月7日配信】の記事には、このように書いてありました。
――警察は学校内でいじめやトラブルがなかったか、詳しい経緯を調べている。
当たり前ですが、警察の捜査情報などは一在校生だった私には知る由もありません。ですが、鹿倉花恵と親交の深い人物であれば、彼女が命を絶たなければいけなかった理由を知っているかもしれません。
それで言うと、一人思い当たる人物がいます。連絡を入れてみて、直接会えるかどうか聞いてみようと思います。