ときは大正。
 鎖国を解き、外国からの文化が目まぐるしく流入し始めた現世日本では、幽世の門をくぐり抜けてやってきたあやかしたちが、ひと知れず生活のなかに溶け込んでいた。
 大半のあやかしはひと好きで、ひとびとを慕い、穏やかに共生していたが、ときにひとびとの生活を脅かす邪悪なあやかしもいた。
 そのためときの政府はあやかし庁という官庁を作り、日々、邪悪なあやかしを取り締まるようになっていた。