モキュメンタリーホラー小説、いろいろ考えているけど結構難しいな。満谷先輩も応援してくれてるし、納得のいく小説を書きたいけど、やはり構造というか見せ方をいつも以上に工夫する必要がありそうだ。
 影響を受けそうなので避けていたが、やはり既に世に出ているモキュメンタリーホラー小説も何作か読んで勉強しないといけなさそうだ。
 また同じコンテストに参加予定の作品も少しずつ増えてきているみたいだし、ジャンル的な意味でもライバルの作品を読むという意味でもちょっと、いやかなり怖いけれど、そこはまあ我慢ということで読んでいきたいと思う。うん。

 さて。昨日までで闇バイトの一件までまとめたので、今日からは残りの「熱狂的読者を攫う怪異」についての情報と、親友の実家に訪問した時のことをまとめていこうと思う。

 まずは、私が空き時間に調べたネット情報についてだが、なんと「熱狂的読者を攫う怪異」について、今はべつの名前で呼ばれているらしいことがわかった。
 とあるSNSの投稿について引用しておく。(本SNSの掲載ガイドラインに沿い、引用についてはユーザー名・アカウント名はそのままの表記とし、アイコンのみ肖像権・著作権を考慮し黒塗り加工をした。)





 その名前は――ヨミクイ。
 この後の返信ツリーに続いていたのだが、どうやら「読み手を喰らう怪異」から「ヨミクイ(読み喰い)」と名付けられたらしい。
 私が6年前に交流していた人から聞いた時は「熱狂的読者を攫う怪異」とか「物語に魅了された読者に惹かれた化け物」だとか、特に名前までは付けられていなかったのだが、ここ最近(といっても2年以上前だが)は「ヨミクイ」で通っているみたいだ。(交流していた人が知らなかった可能性もありうる。)
 誕生の由来についても、以前に私が聞いた内容とほぼ一致していたので、「熱狂的読者を攫う怪異」=「ヨミクイ」であるのは間違いないと思われる。

 以下に、ヨミクイの主な特性について、いくつかわかったことがあるのでまとめておく。


【怪異「ヨミクイ」とは】
・ヨミクイは、主に小説を読んでいる者を獲物としている怪異である。
・ヨミクイは、小説の読者の中でも特に現実を忘れるほど小説に熱中し、物語の世界に浸っている読者を好む。
・ヨミクイの見た目は、眼を除いて読者自身と同じ姿形をしている。
・ヨミクイの眼はくり抜かれているため、陥没していて無くなっている。
・すなわち、自身の眼をくり抜いた姿が、あなたが出会うヨミクイの姿である。

【怪異「ヨミクイ」に興味を持たれるとどうなるのか】
・ヨミクイに興味を持たれた読者は、小説を読んでいる時に周りの音が聞こえなくなる時がある。
・ヨミクイに興味を持たれた読者は、小説を読んでいる時に不可解な文字が見えることがある。
・ヨミクイに興味を持たれた読者は、小説を読み終わった後にヨミクイの世界に連れ去られる。(正確には、いつの間にかヨミクイの世界に移動させられている。)

【怪異「ヨミクイ」の世界とは】
・ヨミクイの世界は、一見すると読者が住んでいる世界と何ら変わりない普通の世界であるが、読者以外の生物がいない世界である。
・ヨミクイの世界に連れ去られると、読者はヨミクイから逃げなければ喰われてしまう。
・読者が最後に読んでいた小説のページ数が、ヨミクイから逃げなければいけない日数である。
・ヨミクイは眼がくり抜かれているため、読者を探す時は心音を頼りにしている。(ヨミクイに興味を持たれた時に周りの音が聞こえなくなることがあるのは、ヨミクイが読者の心音を聞いて品定めをしているためと言われている。)
・つまり、ドキドキしているほどヨミクイに気づかれ、引き寄せてしまう。
・ヨミクイから逃げ切るか、身代わりを二人差し出すと解放される。


 以上が、私が17日の隙間時間に調べてわかった「ヨミクイ」についての情報だ。
 ここは私の日記なので、単刀直入に私の感想を書く。

 いや、怖すぎるんだけど!

 怖い怖い怖い怖い怖い!

 え、なんですか。小説の世界に夢中になったらそのヨミクイとやらに目をつけられて喰われるんですか? 理不尽すぎません? そもそも小説ってそういうものだし、これまで夢中になった物語とかたくさんあって数知れないんですが?
 てことは、そうか。このヨミクイってオカルト話はガセネタですね。うん、そうに違いない。小説家を志すいち書き手としてこんな怪異の存在を認めていいわけがない!
 この日記を読んでくださっている皆様もきっとそうですよね?
 これまで好きになった小説とかたくさんありますよね?
 気がつくと時間も忘れて読み耽ってしまって寝る時間をとっくに過ぎてしまった経験とかわりと普通ですよね?
 読んだ小説に影響受けちゃって、ファンタジー小説を読むと冒険がしたくなるとか、恋愛小説を読むと心ときめく恋愛がしたくなるとか、SF小説を読むとまだ見ぬ近未来の世界をあれこれ空想しちゃうとか、ホラー小説を読むと怖くなってトイレに行けないとまでは言わないまでも鏡を見るのが少し怖くなるとか、わりとあるあるですよね? ね? お願いですからそうだと言ってください。

 17日の夜とか、帰ってから小説まともに読めてないんですが。少し時間が経ってようやく冒頭に書いた通り他のモキュメンタリーホラー小説読まないとなって思えてきたくらいで。
 正直ここに書くだけで若干鳥肌立つくらいなんですが、書かないと情報も集まらないのでなんとか頑張って書いてます。はい。


 ヨミクイの噂についての感想を書いてようやく落ち着いてきたところで、次に親友の家にお邪魔することになった経緯について書いておきたい。

 17日の昼過ぎ。ちょうど満谷先輩への取材の合間にトイレに行っていた時に、私の元に一本の電話がかかってきた。
 電話の相手は、次の日曜日に会う予定になっていた親友のお兄さん、智也さんだった。
 智也さんは、私が親友の行方をどうにかして今一度探したいと申し出た時に、とても喜んでくれていた。それと同時に、17日に外せない用事があって都合がつかないことを謝ってくださっていた。(こちらから無理を言っているのに、大変恐縮な限りです。)
 そんな理由もあってか、智也さんは「実家にある弟の自室を調べてみてはどうか」と提案してくれたのだ。実家の両親には既に連絡を入れてあるとのことで、都合が合えばいつでも来てほしいと言ってくれているらしい。私は、ありがたく承諾した。

 親友のアパートにはあの行方不明になった日に訪れているが、親友の実家には伺っていなかった。親友の両親については、彼のお母さんと電話で数回話し、親友が行方不明になった後に一度だけ会ってお話をした程度だった。

 あれから6年という月日も経っているし、ここ最近は連絡もとっていなかったのでさすがに取材の対象からは外していたのだが、智也さんからの提案もあって再びお話をする機会に恵まれたのだ。
 そんな経緯から、急きょ私は満谷先輩とのランチの後に親友の実家に訪問することとなった。

 そこで話した内容についてはこれからまとめていきたいと思うのだが、そろそろ寝ないと明日に響きそうではあるので、また明日以降の日記で記載していきたいと思う。

 それでは、今日はここまで。
 おやすみなさい。