トン、トン、トン。
トン、トン、トン。
階段を1段1段、登る音が聞こえてくる。
だけど、その音は、
私、寺坂小雪にとっては。
──────とても憂鬱な音だ。
だって、平然と私の部屋に、
入ってくるのが予想出来てしまうし。
何よりもその人に、
どんな顔で会ったらいいかもいつも分からない。
分からないから、小さい頃に、
私のココロにあった、好きという気持ちも。
今では、
──────嘘か本当か分からない。
だって、私のココロは私のものであって。
でも、私のものじゃない。
どっちの気持ちかなんて、分からないよっ。