新橋は、勉強は出来過ぎな程に出来るのだが、大人しくて、僕からしたら、自己主張のない奴に見える。いつだって声をかけても、「ああ」とか「うん」とか、そんな単語しか返ってこない。酷い時には、単語すら返ってこない。

 彼ならば、明日会っても、多くの言葉で僕を責めてくることはないだろう。

 そんな身勝手な結論づけで自身を納得させると、僕は新橋にメッセージを送る。

『新橋、お前、勉強出来るくせに、「ああ」とか、「うん」とかの単語で、周りとコミュニケーション取れてると思ってるわけ? そんなわけねぇーから。英単語覚える前に、コミュニケーションの仕方覚えろや』

 これで良し。こんなメッセージが届いたら、僕なら、大きなお世話だと、苛立つだろう。

 自身で送った深夜の失礼極まりないメッセージに、苛立ちと納得を覚えつつ、3人目の個人画面へと移る。

 3人目は、田町。スポーツができる奴だ。スポーツなら何をやらせても平均以上のため、様々な運動部から助っ人としてお呼びがかかる。そんな彼は、見た目は、並みのクセに、女子に人気がある。本人もそれを分かっているのに、気がつかないフリをしているところが、正直鼻につく。

 本当は分かっている。こんなのはただの嫉妬。やっかみでしかない。

 でも、ちょうどいいチャンスだ。ゲームクリアの為に、仕方なく送った事にして、日頃の鬱憤を送ってしまおう。

『田町。本当は自分がモテるって思ってるんだろ? 女子にキャーキャー言われてるの気がつかないフリしちゃってさ。だけど、正直、いつも、顔がニヤついてるんだよ! 言っとくけど、お前の顔は、並みだからな! 勘違いしてんじゃねぇぞ』

 メッセージを送ってから、常日頃、僕はこんな事を思っているんだなと、嫉妬丸出しの文章にちょっと落ち込む。

 しかし、落ち込んでいる暇はない。急いで、4人目の友人を決める。

 4人目は、ポジティブ高輪。いつも彼のことをそう呼んでいるのだが、言い過ぎでない程に、彼はポジティブなのだ。そのポジティブさには、救われることが多い。本当は、見倣うべき、彼の長所。

 だか、理不尽な怒りのメッセージを送らなくてはいけない今は、その長所を欠点として捉える。

『お前のポジティブさは、落ち込んでいる時などは、正直、ウザい! 空気を読め』

 こんなメッセージを朝から見ても、彼は彼のままで居てくれるだろうか。なるべくポジティブに捉えて欲しい。

 やっと5人目。誰にしよう。品川とかどうだろうか。