ゴールデンウィーク商戦も終わり、閑散期に入った。
毎年恒例なのだがソラの店でも、半年に一度取得できるリフレッシュ休暇の日程調整の話題が、正社員のあいだで持ち上がっている。
そのさなか、精肉課のバックヤードに内線電話が掛かってきた。
トイレから戻ったソラは、電話に出たパートから店長の白川の呼び出しがあったことを知らされた。
ソラは、首をかしげる。
「およよ? 俺、また何か、やらかしたかな?」
主任の倉橋が短く笑って「行ってこい」と、彼の背中を叩いた。
二階に上がり、ガラス張りの事務所をのぞいた。白川は一番奥の店長席にいる。
ドアを開けると、窓の外を眺めていた白川が「おお、村野」と片手を上げて、ソラを笑顔で迎えた。
ソラは内心ほっとした。
ひと目で、自分の予測が杞憂に過ぎなかったと知ったからである。
「村野、突然なんやが」
白川は、デスクの上にあった封書をソラに手渡した。
「辞令や」
ソラは文書を開いて、目を見張る。
S店精肉課副主任に任ず、とあった。S店は、複合テナント施設を兼ね備えた、県北ブロックで一番の大型店である。
「栄転やなあ。おめでとう」
白川が握手を求めて右手を差し出す。ソラはあまりに突然のことで言葉を失ったまま、とりあえず握り返した。
毎年恒例なのだがソラの店でも、半年に一度取得できるリフレッシュ休暇の日程調整の話題が、正社員のあいだで持ち上がっている。
そのさなか、精肉課のバックヤードに内線電話が掛かってきた。
トイレから戻ったソラは、電話に出たパートから店長の白川の呼び出しがあったことを知らされた。
ソラは、首をかしげる。
「およよ? 俺、また何か、やらかしたかな?」
主任の倉橋が短く笑って「行ってこい」と、彼の背中を叩いた。
二階に上がり、ガラス張りの事務所をのぞいた。白川は一番奥の店長席にいる。
ドアを開けると、窓の外を眺めていた白川が「おお、村野」と片手を上げて、ソラを笑顔で迎えた。
ソラは内心ほっとした。
ひと目で、自分の予測が杞憂に過ぎなかったと知ったからである。
「村野、突然なんやが」
白川は、デスクの上にあった封書をソラに手渡した。
「辞令や」
ソラは文書を開いて、目を見張る。
S店精肉課副主任に任ず、とあった。S店は、複合テナント施設を兼ね備えた、県北ブロックで一番の大型店である。
「栄転やなあ。おめでとう」
白川が握手を求めて右手を差し出す。ソラはあまりに突然のことで言葉を失ったまま、とりあえず握り返した。